内容説明
幼年時代、義兄ガントレットに西洋音楽の手ほどきをうけた耕作は、やがて東京音楽学校に入学、岩崎小弥太の後援をうけ、日本人で初めてベルリンの王立音楽院に入学する…。童謡・オペラの作曲を始め、わが国交響楽運動の創始者として、近代音楽史に輝かしい足跡を残した、山田耕筰の破天荒な青春記。
目次
小さな歌の狂人
上野の杜
ベルリンの青春
私の名はペテロ
シベリアの旅
感想・レビュー
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tohoho
1
山田耕筰65歳の時に綴った回想録というか自伝。幼少期から音楽学校を経て、ドイツ留学から帰国するまでの半生が語られる。多彩なエピソードの数々、情景描写等、興味深く読め一つの私小説。あとがきに本編に次ぐ自叙の後半を公にするであろう、とあるが、叶わなかった模様。懐かしの夢多かりし若き日の思い出となっており、額面通り受け取る訳にはいかないにしても、尊敬すべき点が多い。2020/07/15
fuchsia
1
音楽室に飾ってあった「タコ社長」みたいな肖像画しか記憶になかったのですが、表紙の写真はけっこう美男子です。若いころは良くもてて遊んでますが、本気で好きになった婚約者は家の都合で医者の後妻(4人目)となり大失恋しています。このあたりの記述はかなりサービス精神旺盛に書かれており、どこまで本当なのかいな、という感じですがとにかく明るく楽しい人ではあったようです。母親代わりのお姉さんがしっかりもので良かった。あと、留学時のドイツ語克服方法なんかは、外国語習得において参考になりそう。2013/03/02