内容説明
下巻では明治十一年七月十九日より二十年四月十七日までの日記を収録。勝家の人びとの素顔、活発なキリスト教の布教活動、緒についたばかりの外国語教育の実態など、両親の死をのりこえ日本で力強く生きてゆくクララの目を通して、当時の世相や事件が綴られる。巻末には、本書に登場し、文明開化期の日本に大きく貢献した外国人教師・宣教師ら百十余名の略歴を紹介、さらに詳細な人名索引を付した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
10
下巻は親しい人の死が多く書かれていて、上巻に比べて全体的にトーンが低い。特に多くのページが割かれているのは、母の死。そして1884(明治17)年11月から1887(明治20)年まで日記が中断され、1ページに梅太郎(勝海舟の三男)との結婚と子どもの出産があったことが記される。日本人と親しく交流しながらも、日本人との結婚なんて考えられないと言っていた彼女が、なぜ梅太郎と結婚することになったのか。それは記載されていない。そこが知りたかったのに、残念。2020/08/06
本の蟲
9
のちに勝海舟の三男、梅太郎と結婚し、一男五女をもうけることになるクララ・ホイットニーの日記。母に代わり家事を仕切る忙しさに、出入りが激しい使用人に対する苦労。ひっきりなしに訪れる国内外問わない来客。招待された行事。キリスト教の布教活動に英語教室。友人たちとの遊びや、世話になり通しの勝家の人々との交流。かなりの筆まめで、ほぼ毎日綴られている時期もある。日曜学校の説教内容は必ず触れられているのが、正直後半うざったくなる…(笑)。その分量や人名は膨大で、知っている名前や史実も多い。しかしおそらく読者が一番(続2022/02/28
印度 洋一郎
4
下巻は、諸般の事情で離日する直前から、再来日してからの日々。クララも二十歳近くになり、日本語も理解出来るようになったためか、日本人に対する心情も変わっていったようだ。買い物に行って、日本人の商人と値引きを交渉したり、お茶屋で芸者達に会い、芸を興味深く見ながらも、その境遇に深く同情したりしていた。内村鑑三の結婚式に出席し、浜離宮で明治天皇と皇后に拝謁し、鹿鳴館で日本初のバザーに参加したりと、より深く日本の社会へ入って行っている様子も伺える。母の臨終の日の長い長い記述には、クララの深い悲しみを感じた。2012/07/14
のんき
0
1878(明治11)年7月から1887(明治20)年4月まで。在外期間は訳者により省略、また元々書かれなかった期間もある(それらの期間については上巻の「はしがき」で補足されている)。著者の人生において一番知りたくなる時期が空白となっており、残念ではあるけれども、そういう時期に書くことが出来なくなるのもまた著者の個性を表現しているように思った。2009/04/12
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