感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
17
原作が面白すぎたのか「真木柱」は期待してたほどではなかった。やはり御息所のもののけがいないと。真木柱よりもその弟たちに関心が行くんだなと思った。「若菜上」はそれでも橋本治ならでは解釈としては、女三の宮は朱雀院の形代とされ、朱雀院への憎しみが半端ない。女三の宮の駄目な部分は朱雀院の教育がなってないということで、明石の姫の教育と比較される。しかし、それ以上に11才で15才の餓鬼(天皇だけど)に処女を奪われ13才懐妊させられる悲劇も描いていた。その東宮が朱雀院の息子だというのも憎しみが湧くのかな。2024/05/24
LUNE MER
16
本巻で第一部が終わり、「若菜・上」に始まる第二部に突入。源氏を取り巻く女性たちについて読み落としていた一面に気づかされることの多い窯変だが、本巻では三の宮の降嫁を通じて垣間見れる兄・朱雀帝との男対男としての関係性が見どころのひとつ。また、若き源氏の周りで起こった様々なドラマの結果として次世代の若者たちの関係性を源氏の視点から論じる箇所も読みどころ。夕霧と秋好む中宮の関係を車争いした彼らの母親同士の因縁まで含めて俯瞰するところなど。2021/12/09
鈴木貴博
2
光源氏の語る源氏物語、第八巻。「真木柱」「梅枝」「藤裏葉」「若菜上」。髭黒騒ぎがあり、光源氏が栄達を遂げ、そしていよいよ若菜。心なしか語りも毒も冴え、盛り上がってきた。2025/02/19
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
2
源氏生い立ちの「藤壺」~40歳長寿祝い前年「藤裏葉」全33帖が第一部。過去の恋愛が政治的栄華の支えにもなり、六条の院という源氏の理想郷も完成した。季節や衣装の彩り、小道具の美しさ、人の心も十人十色で色彩的にもとても美しい小説だ。来朝した高麗人顔相見の「帝王でもなければ臣下に終りそうにもない@『藤壺』」との予言どおり、太政大臣まで出世し尽した後、准太上天皇となって臣籍を去った。それは、自分の父は源氏だと冷泉帝がハプニングにより知り、孝養として考え出した結果だった。子女の教育と結婚、仮名文字論、物語論等も新鮮2021/12/02
小谷浩二
2
昭和が終わり、平成元年はいろいろな事があり、平成元年が過ぎた後に、橋本治さんは、源氏物語を、訳しはじめた。一級の心理小説であり、権力や美についての考察があり、四季折々の変化もあり、祭り事の所作があり、調度や衣服の精緻な文様があり、それらを全て書ききっている。若菜から、源氏物語は、後半に入る。僕は、ゆっくりと橋本治さんの渾身の作品を読んでいます。豊かな世界に導かれていく。文学の豊かさを教わる作品。第8巻。若菜上迄たどり着きました。2014/08/23