感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
16
本巻で第一部が終わり、「若菜・上」に始まる第二部に突入。源氏を取り巻く女性たちについて読み落としていた一面に気づかされることの多い窯変だが、本巻では三の宮の降嫁を通じて垣間見れる兄・朱雀帝との男対男としての関係性が見どころのひとつ。また、若き源氏の周りで起こった様々なドラマの結果として次世代の若者たちの関係性を源氏の視点から論じる箇所も読みどころ。夕霧と秋好む中宮の関係を車争いした彼らの母親同士の因縁まで含めて俯瞰するところなど。2021/12/09
小谷浩二
2
昭和が終わり、平成元年はいろいろな事があり、平成元年が過ぎた後に、橋本治さんは、源氏物語を、訳しはじめた。一級の心理小説であり、権力や美についての考察があり、四季折々の変化もあり、祭り事の所作があり、調度や衣服の精緻な文様があり、それらを全て書ききっている。若菜から、源氏物語は、後半に入る。僕は、ゆっくりと橋本治さんの渾身の作品を読んでいます。豊かな世界に導かれていく。文学の豊かさを教わる作品。第8巻。若菜上迄たどり着きました。2014/08/23
madhatter
2
再読。華麗なる牢獄・六条院の変質を描いた巻。とはいえ、玉鬘が成し遂げたのは閉塞感の打破ではなく、そこからの脱出だった。彼女自身だけを見れば、清涼感溢れる女性ではあるのだが、物語における彼女の役割は、時代の閉塞感を強調することではなかったかと思う。彼女の介在による髭黒家の崩壊の陰惨さにも、それは現れていないだろうか。そして、政治的存在と化した源氏の美意識の集大成たる六条院は、女三宮の存在によって、パワーバランスが崩れてゆく。2012/08/07
NORI
1
読みやすい。その帖開始時の年齢付き人物相関図が記載されており、理解の助けになる。
みほ
1
玉鬘、すごい!そして光君はどんどんさみしいひとになっていく。ようやく男女の見解の差が縮まりはじめたなぁ。2014/01/08