感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
39
玉鬘10帖も佳境に入ってきた。これだけ出突っ張りなのに、いまいち玉鬘にヒロインとしての魅力を感じないのは、中年男のいやらしさ全開で迫る光君を嫌がりながら、ある程度のセクハラは許容するという”大人の対応"が原因だと思う。庇護されている立場なのでやむを得ないのだが、結果的に清新さや可憐さ、一途さ、儚さといったヒロインとしての要素が希薄になってしまったのも事実だ。2024/05/05
LUNE MER
17
大事件はないが、全体を通じて玉鬘争奪戦が展開。後に見られる彼女の強さはまだこの頃は見られないものの、光源氏の魅力は必ずしも女を100%意のままに出来ないことを示した女性の一人である。さて、本巻で近江の君が登場。彼女のセリフがどんな口調に訳されているのかが、異なる現代語訳を読むたびに気になるところ。窯変での彼女はこれまで読んだどの彼女よりも噛ませ犬感炸裂。そして源氏の末摘花に対する恨み返しの冥歌「唐衣ああ唐衣唐衣返す返すの唐衣かな」が登場するのもこの巻。2021/10/08
かふ
15
玉鬘十帖のうちの7話。他の『源氏物語』と違うと思ったのは光源氏が「玉鬘」にあしらわれてしまうところが光源氏は六条院という後宮を建てながら老いの中にいてかつての精力はないように思えた。まだまだ玉鬘という娘を得ながら、その娘に手を出してしまうのだが、結局最後まで拒まれてしまったような。そこが喜劇的になっていて、紫の上との会話は漫才のような展開になっていく。それは六条院が女たち中心の世界であって、その中心には紫の上がいるということなのだろう。その対抗馬として玉鬘が現れたがかつての紫の上のように囲うことは出来ない2024/05/04
maekoo
7
画期的な深掘昇華源氏物語現代語訳全14巻の七巻、胡蝶・蛍・常夏・篝火・野分・行幸・藤袴を描く495P。 玉鬘の物語が進行しその心情と光への態度の微妙な変化を克明に描いているし光の自分本位な嫌らしさがあらゆる場面で描かれていて面白い! 常夏は近江の君が桃尻語で喋りそれが違和感なく物語に溶け込んでいて凄く楽しい! 常夏は牧美也子版が一番昇華されていて好きだがこれも良い! 野分は各女達の心情や夕霧に対するやり取りが克明で面白い! この巻の様に割とマイナーな巻も面白く描かれておりマニアも初心者も楽しめるシリーズ!2025/10/17
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
3
源氏が作り上げた夢の園「六条の院」その栄華が煌びやかな巻だった。季節の花の描写も美しい。夢の園――源氏がマイケル・ジャクソンに見えてきた。平和な世界を描いているのに、退屈とは無縁で、ぐっと入り込める小説って珍しいな。ここにきてまたすごいキャラが投入された、近江の君。内大臣の隠すつもりはなかった隠れていた娘で、破壊力が満点だ。初対面は、大声で双六に熱中する姿だった。「いと舌疾(したど)きや」内大臣、そんな女性は見たことがなかったので下品さにびっくり仰天、そして落胆。しかし、内大臣は偉大なところがあった。2021/11/28
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