感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
38
玉鬘10帖も佳境に入ってきた。これだけ出突っ張りなのに、いまいち玉鬘にヒロインとしての魅力を感じないのは、中年男のいやらしさ全開で迫る光君を嫌がりながら、ある程度のセクハラは許容するという”大人の対応"が原因だと思う。庇護されている立場なのでやむを得ないのだが、結果的に清新さや可憐さ、一途さ、儚さといったヒロインとしての要素が希薄になってしまったのも事実だ。2024/05/05
LUNE MER
16
大事件はないが、全体を通じて玉鬘争奪戦が展開。後に見られる彼女の強さはまだこの頃は見られないものの、光源氏の魅力は必ずしも女を100%意のままに出来ないことを示した女性の一人である。さて、本巻で近江の君が登場。彼女のセリフがどんな口調に訳されているのかが、異なる現代語訳を読むたびに気になるところ。窯変での彼女はこれまで読んだどの彼女よりも噛ませ犬感炸裂。そして源氏の末摘花に対する恨み返しの冥歌「唐衣ああ唐衣唐衣返す返すの唐衣かな」が登場するのもこの巻。2021/10/08
かふ
14
玉鬘十帖のうちの7話。他の『源氏物語』と違うと思ったのは光源氏が「玉鬘」にあしらわれてしまうところが光源氏は六条院という後宮を建てながら老いの中にいてかつての精力はないように思えた。まだまだ玉鬘という娘を得ながら、その娘に手を出してしまうのだが、結局最後まで拒まれてしまったような。そこが喜劇的になっていて、紫の上との会話は漫才のような展開になっていく。それは六条院が女たち中心の世界であって、その中心には紫の上がいるということなのだろう。その対抗馬として玉鬘が現れたがかつての紫の上のように囲うことは出来ない2024/05/04
Jack Amano
3
再読(出版された当初に一度読んだ)。寝る前に睡眠薬替わりに読んでいるので、進行が非常に遅い(寝つきが良いので)。ようやく半分。息子(夕霧)の成長と、息子を見ながら自分の若いころを振り返る光源氏の心境の移り変わりなどが、面白い。2024/08/03
小谷浩二
3
窯変源氏物語も7まできたかという感じです。美意識に裏打ちされた表具みたいな作品。読みながら、春の雪を読んだ頃も、こんな感触を感じてたと、春の雪の読書の頃も思い返したりします。2014/06/22