出版社内容情報
正しく文学作品を鑑賞し、美しい文章を書こうと願うすべての人の必読書。文章入門としてだけでなく文豪の豊かな経験談でもある。〈解説〉吉行淳之介
目次
1 文章とは何か(言語と文章;実用的な文章と芸術的な文章 ほか)
2 文章の上達法(文法に囚われないこと;感覚を研くこと)
3 文章の要素(文章の要素に六つあること;用語について ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
121
おもしろかった。文豪が文章の書き方についてつらつらと書き綴った一冊。日本語の場合、文法はあんまり気にしなくていいとか、わかりやすい書き方が大事とか、現代でもすごく役立つ文章書きの心構えとテクニックみたいなものが満載。句読点の打ち方とか、文章を短くするために推敲するときのポイントなど、結構具体的に書かれている。たまに難しい言葉が入るけど、見た目以上にサクサク読めて楽しい。2022/04/13
おつまみ
47
文章って難しい。けど、実生活では絶対に必要になってきた。その中で、句読点が気になるけど、読む人が見やすい場所に打てばいいのではないかと思った。ただ、論文だと見る先生が文法に厳しいこともあるので、その場に応じた書き方が必要な気がする。実際に文章を書く機会は山ほどあるけど、場所が違って、どこで書くかも違う。2021/04/08
つちのこ
45
拙く、下手な文章に辟易としながらも日々撒き散らしている。私の文章に触れた人にとっては迷惑この上ないが、書くことが好きなのでやめられない。本書はそんな饒舌な自分にも、「しっかりした文章をどう書くのか」という、経験談からの論理的な視点で気づきを与えてくれる。日本語がもつ特性や品格をどう文章に活かすのか、いくら考えても浮かばない。才能やセンスを除いてできることは、正確な技術を学ぶことだろう。谷崎が冒頭に寄せた本書の目的「われゝ日本人が日本語の文章を書く心得」は、言い得て妙。90年の時を経ても色褪せない。2025/01/10
かわうそ
44
文章を上達するには「しかも研けば、研くほど、発達するのが常であります。そこで、感覚を研くのにはどうすればよいと云うと、出来るだけ多くのものを、繰り返して読むことが第一であります。次に実際に自分で作ってみることが第二であります。右の第一の条件は、あえて文章に限ったことではありません。総べて感覚と云うものは、何度も繰り返して感じるうちに鋭敏になるのであります。……文章に対する感覚を研くのには、昔の寺子屋の教授法が最も適している所以が、お分かりになったでありましょう。講釈をせずに、繰り返しゝ音読せしめる、2022/10/07
おさむ
40
文豪谷崎センセイの文章教室。日本の数多ある読本の定番ですね。大切な箇所はゴチックになっているのも親切です。例えば、文章を声に出してスラスラ読めるか試してみる。文法に囚われらない。感覚を研く。分かりやすい語を選ぶ。饒舌を慎む。言葉遣いを粗略にしない。敬語や尊称を疎かにしない‥‥。学生さんの入学祝いなどにはいい本かもしれません。2018/10/10
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