内容説明
人間の精神の仕組みを「性的唯幻論」という独自の視点からとらえ、具体的な生の諸相を鮮やかに論じる岸田心理学の実践的応用篇。待望の続篇。
目次
歴史と文化
性と性差別
人間について
感情について
作家について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
30
約25年ぶりに再読しました。以前読んだ時は、「集団心理に関する分析は、インターネットの中には当てはまらないのでは…? むしろ、社会のデジタル化によって、集団浅慮は改善される方向性に向かうのでは?」と思ったのですが、再読したことで、当時の自分の見通しがいかに甘く、典型的な“幻想”に陥っていたかを思い知り、愕然としました。初出が76~78年であることに、改めて深く考え入りました。2024/12/26
中年サラリーマン
16
著者の「笑いについて」という文章を読んだとき、これ桂枝雀の緊張の緩和理論やん!と思った。いや、どっちが先か知らないけど。心理学と落語の接点を感じ読書しててよかったな、と。後、著者の三島由紀夫への視線はある意味容赦ないのではないか。全体的にはマンネリングだがところどころ刺してきよる文章!2014/06/23
tokko
10
やはり『ものぐさ精神分析』の衝撃には劣る。結局「幻想」(人間は本能が壊れている)で全てを片付けていて最初の方がインパクトが強かっただけに、「いや、もういいよ。だいたいわかったから。」という感じになってきます。もちろん『続ものぐさ…』もおもしろいんだけど、そんなに引っ張らなくてもよかったのかなぁとも思う。「あとがき」を読むとその辺の事情もなんとなく理解できる。2019/04/14
matsu
5
無印版を先に読んだので、あちらほどの衝撃はなかったが面白かった。『血縁幻想』では「日本人は他人と関係を持てない」とあり、納得する部分があった。組織構造についても血縁家族の幻想を基盤としていると言うのだが、これを国家とすればエマニュエル・トッドの「人類の家族構造」の主張に一致することになる。『アメリカを精神分析する』は9・11以降にこそ読まれるべきである。ピルグリム・ファーザーの原罪――原住民に対する裏切りと虐殺――を隠ぺいしているがために、自由と民主主義は裏切りと暴力を正当化する口実にすぎなくなった。2015/08/23
ラウディ
4
三島由紀夫や太宰治についての考察が興味深かった。その他の事柄についてもそうだが「そういう見方もあるんだな~」って感じで読んでると世の中の見え方が変わってくるんじゃなかろうか。2019/10/01