中公文庫<br> 東京ローズ―戦時謀略放送の花

中公文庫
東京ローズ―戦時謀略放送の花

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  • サイズ 文庫判/ページ数 322p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122023949
  • NDC分類 916
  • Cコード C1195

内容説明

第二次大戦中、NHKの米軍前線向け謀略宣伝放送「ゼロ・アワー」のアナウンサーだった東京ローズは、戦後、反逆罪で逮捕され懲役刑を科せられた。大統領特赦によって市民権を回復したのは、二十八年後の一九七七年であった。参謀本部宣伝主任、番組責任者、UP記者等、当時の関係者を訪ね歩いて事件の複雑な真相を追い、戦争に翻弄された日系米国人女性とその周辺の人びとの深い傷跡を探る。

目次

第1章 謀略放送の花・東京ローズ
第2章 東京ローズ・男性版
第3章 放送の責任者
第4章 巻添えとなった人々
第5章 放送内容と読み上げた捕虜たち
第6章 巣鴨プリズン同房の女性

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

41
ひとりの日系アメリカ人女性の、戦時謀略放送への加担をめぐり、アメリカ市民権を取りもどすまでの、苦闘の年月……という本ではなかった! その話題はかなり早くに終わり、彼女の周辺にいて、戦争により運命を変えられた人々の思いを探る、著者のドラマチックな取材旅。運命に翻弄される人は決して饒舌にはならず、沈黙を生きようとするし、そして武力でなくても戦争は残酷だ。2017/09/26

yokmin

26
「東京ローズ」ドウス昌代著に続いて上坂冬子著の同名の本を読了。前者は、東京ローズことアイバ戸栗にフォーカスした作品だが、後者はアイバ周辺の多くの人たちの物語にふれており、一段と興味深い。特に夫であったダキノ氏の話。アイバ戸栗が米国の国家反逆罪に問われて有罪になったのは、自らの軽率な行動によるものだと。つまり、「キジもなかずは撃たれまいに」なのだ。いずれにせよ、戦争の犠牲者であることには変わりがない。判決の約30年後、フォード大統領の特赦令により名誉と米国籍を回復できたのは、なによりであった。2021/05/16

yokmin

22
シカゴに住んでいた頃、ときとき戸栗商店に買い物に行っていた。応対するのはいつもメガネをかけた中年の女性。ある日、シカゴ・トリビューン紙に彼女の写真が大きく載っている。東京ローズ!知らなかった。数年後に特赦を得た。彼女にはお世話になった。2025/01/04

RED FOX

13
「太平洋のみなしごさん、あなたたちのお船は全部沈んじゃったのよ。どうやって家に帰るつもり・・・」昭和18年、謀略宣伝放送室に咲いた「東京ローズ」を追うルポ。証言者たちの矛盾、対立、拒否・・・知恵と勇気を振り絞って取材に当たっては砕ける上坂冬子。面白かった。個人や家族が翻弄される戦時中の非情さに言葉を失う。2017/06/12

西澤 隆

5
戦時謀略放送を担当し戦後に国家反逆の罪に問われた女性を起点にWW2当時の戦史として語られない、戦争の時期に市民として生きていたひとの振り回され方を執念深く追った一冊。立場がちがうひとがいろんな観点から食い違うことを言う以上真実は「藪の中」。真実を明らかにするより「被害者」とか「酷い人」とかわかりやすくまとめられない右往左往にちゃんと向き合おうとする姿勢はものを書く人としての仕事としてとても誠実。ただ取材対象に対しては「エラそうだなあこの人」とも感じる。僕は取材するひとのこの距離感には違和感、あるんだよなあ2017/10/03

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