内容説明
九十歳をこえてなお「信濃の獅子」と謳われた真田信之―当主の突然の死に伴う後継者争いをめぐり、松代十万石の存亡を賭けて下馬将軍・酒井雅楽頭忠清にいどむ老雄の、乾坤一擲の隠密攻防戦。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
56
真田太平記のずっとずっと後の、信之が亡くなる前あたりの真田家を書いた作品で、信之が主役でした。信之が93歳になっても、まだまだ現役で真田家の為に頑張るお話です。そして信之のそばには85歳になった右近が寄り添っていて、文字通り死ぬまで一緒というのが凄いです!幸村のような華々しさはないものの信之も本当に偉大な武将だったのだなぁと思いました。2011/07/16
只三郎
35
真田幸村の兄、信之が主役の本作。真田家にお家騒動が勃発。幕府の老中酒井雅楽頭と隠居中の信之93歳との隠密攻防戦、どのように相手を出し抜くかという展開に夢中になってしまった。一般的に昌幸、幸村に比べると信之の評価は低いが、信之がいたからこそ真田家は幕末まで生き残る事ができたと思う。真田信之こそ真の名君と言って良いと思う。2016/05/22
pdango
28
★★★★★夢中で一気読み。真田信之の名君ぷりにホレボレする。2017/01/31
majimakira
26
これまで知った史上の人物で最も尊敬する、真田伊豆守信之。90にして遅まきながら家督を次男に譲り、一当斎として隠居した後に、尚もその知恵と智略と人徳をして、「信濃の獅子」たる存在感を魅せてくれる物語。愚かな孫に本家を継がせる事態を避けるべく、義弟たるその孫を担がんとする老中筆頭・酒井雅楽頭忠清に対して仕掛ける「最後の」大勝負。ただただ痺れる。「大名のつとめと申すは、領民と家来の幸せを願うこと、これ一つよりほかにはないのじゃ。(中略)人は、わしを名君とよぶ。が、名君で当たり前なのじゃ。いささかも偉くない。」2014/10/13
あまね
21
『錯乱』を読んでいたので話の筋は分かっていましたが、やっぱり夢中になって読んでしまいました。「一件落着だな。」と思ったら、最後に「あっ!」ということが起こります。薄く引いた伏線を使って、読者を驚かす筆力はさすがです。叙情的で細やかな描写も多く、とても満足しました。『真田太平記』を読み終えた方には、特にオススメです!2016/03/31