内容説明
昭和二十年九月六日、新聞報道関係者の一人であった著者は、フィリピンのルソン島にて投降した。本書は国際経験豊かなジャーナリストの収容所における米軍将兵との温かい交流の記録であり、公正な眼がとらえた敗戦時における卓抜な日米文化比較論である。
目次
1 比島投降記(投降;米国の成人;若い少佐;米軍の給与 ほか)
2 アメリカ兵の印象(N;ハッピイ;坑夫;ルイジアナ・サム ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ted
2
'95年2月(底本'46年11月)刊。◎敗戦翌年に出版された点から親米感情の醸成を目的として出されたのではないかと穿った見方もできようが、報復感情で米兵や現地人から筆舌に尽くしがたい仕打ちを受けた人も多かったことを思えば、捕虜収容所で著者が受けた扱いは極めて幸運で稀有な一例だったと言えよう。直接折衝した米軍の将校が高い教育を受けた20代のインテリだったことに加えて、著者もまた帝大卒・米国留学を経た英語に堪能なインテリで、年齢も壮年(50歳)だったことなどが米軍からの扱いに極めて有利に働いたのは間違いない。2014/04/13