内容説明
大江戸に生き、この都市の繁栄を支えてきた庶民の生業の数々―。江戸風俗画の研究と模写に打ち込んできた著者が、当時の商いの姿を描いた膨大な絵画資料を博捜、精確に復元し、それぞれに平易な解説文を付す。当時の人々の生活の息吹までもいきいきと再現する江戸風俗絵引きの決定版。
目次
衣
食
薬
住
職人
芸能
願人坊主・物貰い
旅
季寄せ
雑
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
18
江戸時代の職業ビジュアル大図鑑である。「わいわい天王」を始めとして「すたすた坊主」はもちろん、「ちょぼくれ坊主」についても紹介されている。ビジュアル的に素敵だなと思ったのは、張りぼての巨大唐辛子を抱えた「唐辛子売り」、紅毛人(オランダ人)の出で立ちがデフォルトの「耳垢取り」など。中でも「願人坊主・物貰い」の項目が多様性に富んでいて、例えば、御利生(ごりしょう)は「伸びたり縮んだりする狐の首を男性のモノになぞらえて、狐の頭を鳥居の内から飛び出させ/市中を歩いて銭を乞うた」と。ビジュアルが気になった人はぜひ。2020/12/10
Galilei
6
600を超す江戸の商売を、当時の人気絵師の挿絵を踏まえ特徴が解説されて、一見で楽しい。歌舞伎や浄瑠璃、講談に落語など、伝統芸能に出る町人の姿が生き々々と伝わり、この絵図を思い浮かべるとかなりリアル。▽商人や店頭、職人に仕事場、菓子や嗜好品、芸能から遊女、さらに神仏から占い、そして大道芸が盛んだった事が判り、江戸の街々は様々な行商の呼び声が、時刻(とき)を告げる替わりだったそうです。▽挿絵は浮世絵の流れで、同時代、やはり西洋でも職業づくしが描かれ16世紀(独)木版画、17世紀の銅版画(蘭)があります。
tama
6
図書館本 江戸検索で 職人画好き 前書きによると著者が原画を模写したそうだがこの方の絵が実に素敵 表情が大変穏やかで大正解 読んでて疑問を感じたのは夜泣き蕎麦・屋台おでん。当時すでに大八車あったのに引き売りの車付き屋台が存在しない!なぜないのか教えて!武器武具屋は古物を多く扱ったが黒船が来たとき古い槍・鎧が全部売れてしまった!古なった傘を買い集め骨だけになるよう綺麗に洗って骨格を傘屋に納めて張り替える。SDGsだ!寺子屋に入学すると机持参し入学式は赤飯と祝杯!江戸の印影、朱は特別。町人の印影は墨。2023/06/25
UCorsair
4
楽しい。パラッとめくって絵を眺めるだけでも面白い。「すたすた坊主」がいい感じ。2021/11/04
狐狸窟彦兵衛
4
落語散策の参考にしようと買い求めた一冊。初版は昭和38年(1963年)5月だそうです。江戸時代の様々な生業の様子が網羅してあります。ページをめくる度に、「すごい!」と、叫んでしまいそう。説明の「今では見られない」などとある「今」は、その当時のことだと思われますが、著者が幼いころにはまだあったらしい商売もあります。江戸の風俗画などからの模写だそうで、それにしても世の中には偉い人がいるんだなぁ、と感心させられます。2016/03/03