内容説明
18世紀英国では、貴族の御曹子を国際人に養成するために欧州大陸に遊学させるグランド・ツアーが流行していた。だが、大陸で若きジェントルマンを迎えたのは、香り高い文化や伝統ばかりではなく、泥んこの悪路や宿屋の害虫だらけのベッド、そして百戦錬磨の詐欺師や娼婦も手ぐすね引いて待ち受けていた…本書では、旅立ちから帰国まで、ツアーの一行と一緒に各地を訪れ、旅の苦労と楽しみを時空を超えてともに味わう。サントリー学芸賞受賞作。
目次
1 準備、そして出発
2 若様、花の都へ
3 南フランスを行く
4 イタリア修学旅行
5 グランド・ツアーのその後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
午後
3
グランド・ツアーに出かける英国貴族の道のりに沿って、彼らが経由する町々の衛生状況や宿の質、社交場、道路の状態など、こと細かに書かれていて、面白く読める。岡田温司の本と対をなすような構成。2025/03/16
aina
3
グランドツアーについては、何冊か読んだが、本書が最も「一般的」に書かれていると感じた。専門書にありがちな歴史を高尚なものとする感じの口調でもなく、かといって、一般向け過ぎるわけでもなく、まさに生活文化史的で学際的でとても面白かった。当時の旅の様子、街の様子や衛生状況など、当時の景色が事細かく述べられているので、他のグランドツアーものよりも、身近に感じられ、彼らの生きた時代をよりイメージしやすかった。2013/03/18
チエコ
2
すごく面白かった。昔の南フランスの様子など。2018/01/31
yukko
1
なかなか興味深く読ませていただきました。2014/08/30
Arte
0
18世紀ぐらい流行った、イギリスの貴族の子弟が、フランスとイタリアに数年留学(というか物見遊山)する風習、グランド・ツアー。当時の旅が如何に大変で、当時のフランスが如何に汚かったか、というような話。レストランという言葉は、元々スープの一種の名前、というのが面白かった。2004/03/17