中公文庫<br> 京都インクライン物語

中公文庫
京都インクライン物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 330p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122021365
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

琵琶湖疏水の完成は、明治期の日本土木界が世界に誇る大工事であり、燦然と輝く金字塔である。京都を近代都市として再生させるため、生命を賭して難事業に挑んだ若き土木技師田辺朔郎ら、男たちの熱い闘いと不屈の精神をノンフィクションタッチで綴る長篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

107
田村喜子さんは「関門とんねる物語」「小樽運河ものがたり」「余部鉄橋物語」も感動的だが、中でも琵琶湖疎水を描いた本書は第1回土木学会著作賞に輝く代表作である。京都府知事・北垣国道の信念と、21歳の工事主任・田辺朔郎の傑出した能力は余りにも有名だが、今回は批判の声に注目して読んだ。デ・レーケは施工不能と判断し、五代友厚は下流の大阪を代表して反対。そして福沢諭吉は南禅寺の水路橋を「山水の美、古社寺の典雅を傷つける「所謂文明流に走りたる軽挙」」と徹底的に批判。それらを知れば知るほど、北垣と田辺の偉大さが胸に迫る。2023/02/10

へくとぱすかる

54
今年は開通130年。何度も計画が挫折した琵琶湖疏水は、1890年ついに竣工、現実となった。完成までの苦闘を、二人の人物、北垣国道知事と技師・田辺朔郎を通して描く。時代は幕末から始まり、着工から完成までは迫真のドラマ。開渠の運河よりもトンネル工事がはるかに大変である。疏水といえばこの二人に関心が集まりがちだが、プロジェクトを支える多くの人々、直接工事で働いた労働者も重要であり、作者はその点もしっかり描いてくれている。今、飲んでいるお茶も、疏水を通ってきた琵琶湖の水であり、京都の近代史をもっと知りたいと思う。2020/11/06

takao

3
ふむ2022/04/11

熱東風(あちこち)

3
今もなお京都市民を潤している琵琶湖疏水は明治23(1890)年に、約五年の工期を経て完成された。そんな物語を田辺朔郎を軸として描く小説。工事そのものが大変だったのは想像できるが、工事決定に至るまでの紆余曲折もまた大変だったことが分かる。恐らく殆どの京都人がこの疎水からの恩恵を認識していないだろうが、決して看過してはならないことだと思わされる。/余談だが、2013年大河ドラマの主人公八重とその兄の山本覚馬が前半に少しだけ登場する。2013/02/16

つかちん

2
琵琶湖疎水を巡る物語。京都の蹴上にあるインクラインは琵琶湖から水を引くための人工物ですが、それを知る人はどれだけいるだろうか?南禅寺近くにある水路閣や蹴上発電所の建物は和風の寺院建築とは異なる雰囲気を醸し出すが、不思議とマッチしているように感じる。本書は滋賀の琵琶湖から京都の蹴上までトンネルを掘る大事業のスケールや労苦について描かれている。絶版になっているのが残念です。関係者だけでなく是非読んでみてほしいです。 2020/08/19

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