内容説明
ドンタクがきたとてなんになろ、子供は芝居へゆくでなし、馬にのろにも馬はなし、しんからこの世がつまらない。過ぎし少年の日の追憶、絵と同じ感性で歌う親しみやすい自由な詩。異国風と郷愁と…。夢二の世界へ誘う絵入小唄集。
目次
TO
どんたく
断章
少年なりし日
日本のむすめ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
156
どんたくぢやどんたくぢや。けふは朝からどんたくぢや。…この一冊では感じきれないほどに広い竹久夢二さんの世界観。未来へと続く道に何を想い描き、残していったのだろうか。赤い木の実の食べたさに走り回る小兎の哀しみのように、言葉のリズムに踊りながら切なく儚い詩に想いを馳せる。寂しさが募れば誰しも我を忘れてしまうだろう。涙わりなし。一度すべてを捨ててしまおうか。新しい我を知るために。今宵の月が見えなくても、宵待草は花開く。一夜限りの恋だって、今を生きる私たちの心模様と同じように、いつまでも忘れることはできないから。2022/06/01
ヒロミ
51
夢二の詩は物悲しい。この詩集は七五調という縛りを設けて綴られた絵入り小唄集とのこと。中也のように澄み切った感性のナイフのように鋭い詩と比べると、なんとも呑気と言うかふしぎな味わい。けれどこのどこか退屈でナンセンスな夢二の詩が私は好きです。2017/03/10
Roy
14
★★★★+ 一貫している。最後まで七五調のリズムを崩さない、旧・乙女のカリスマ竹下夢二(新はやっぱり野ばら?でもタイマだもんねー)の詩集。夢二ののっぺらぼうのように無表情だけれども、下睫毛だけはびっしり生えてる女が苦手で、そしてそんな女達が戯れている絵を見るのが寧ろ怖いのだけども、彼の詩?小唄?では均衡の取れない不安定な儚さを存分に感じることが出来とても好き。あと、気になったのは青頭巾をかぶった人買。ちょこちょこ出てくるのだけれども、なんなの?青頭巾って。2009/03/31
夕暮あいろ
1
その当時の若もの達の光景にノスタルジーを感じる。七五調を徹底しておりとても読みやすく、さらりと風が通り過ぎて行くような感覚で読めた。それにしても赤瀬川原平の解説はズルい。面白くもあり確かにと思わざるを得ず少し笑ってしまった。2015/05/01
nightU。U*)。o○O
1
音韻を徹底させることで、物語や人物を含めた詩全体が重くならずに、たとえどんな暗さや機微の感情があったとしてもそれ以上立ち入らせることを封じて、ただ「詠ませる」ことができる。そんなお手本のような詩集だった。それだけでなく挿絵の版画もいい。2014/01/15