内容説明
歴史小説や日本近世史の記述で暗いイメージを付された佐渡金山。金鉱を重視した秀吉は佐渡を直轄領とし、家康は天領として佐渡奉行を置いた。封建政治が内部矛盾を深めていった時代、幕府は大都市に溢れる生業のない浮浪者を鉱山に送りこんだ。苦役を強いられる無宿者と彼らに性を提供する遊廓の女たち。底辺に生きる人々、金山の過酷な歴史、および佐渡文化の断面を克明に描く。
目次
廃墟の文化史
地底の水替
大工と穿子
心中と盆踊り
金銀山の遊女
流人巡礼
技術の社会史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
aki
2
無宿人が鉱山内に残した彫刻や江戸時代に賑わった遊女町など、佐渡相川の鉱山町に暮らした底辺の人々の痕跡はほとんど失われている(残っていない)ことを改めて知る。いま自分たちが知ることができる歴史はほんの一部だ。2025/01/12
pirorikin kato
1
佐渡文化で「陰」要素強めの歴史書。 無宿者への使い捨て同様の労働や人間臭い彫刻など、当時の人々がどのように生きていたか営みの断片を知れる大変な良書。今は絶版らしく古本屋で運命的な出会いました。その出会いを大切にし、佐渡相川町で現場の空気を吸って肌で感じてみたいと思いました。2025/04/06
Ayane
1
佐渡にまつわるあれこれを編纂したもの。佐渡旅行の前後に読んだ。金山の現場には書かれていない情報も書かれていて勉強になった。帰って来てから残りを読んでも、実際に行った地名とかが出てくると「なるほどそういう街だったのか」と嬉しい気持ちになる。2024/05/31
jinginakineko
0
名文である。飾り気はないが味わいがある。 佐渡金山の歴史、どんな人がどんな生業をして生きたか、おおまかながら飲み込めた。江戸から京から流入してくるさまざまな人から文化を旺盛に取り込み、今に残したことも。 流人として住み着いた狩野派の絵師は農民の注文で農作業や馬を描く。それは貴重な郷土史料となるのだが、彼が自分の意思で自由に描くのは月並みな「花鳥風月」というのが皮肉に思える。しかし著者はそこに島の農民が美術に目覚める瞬間をとらえ「佐渡はこの一人の流人を必要とした」と書く。佐渡人の誇りをそこに見た。2025/09/26
いんきゃ犬
0
佐渡という流刑地にて、いかに人間が家畜同然に扱われていたのか




