中公文庫
榎本武揚 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 355p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784122016842
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

伝説によれば、脱走した三百人の囚人たちははてしない雪原をどこまでも越えて行き、阿寒の山麓あたりに彼等だけの共和国をつくり上げたと言われる。しかし、その後の消息は杳として知られない…。百年をへだてて彼等とその背後にあった榎本武揚を執拗に追う元憲兵、昨日の忠誠と今日の転向のにがい苦しみの中で唯一の救いである榎本は、はたして時代を先どりした先駆者なのか、裏切者なのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

300
とかく謎の多い小説である。本作は、実在の人物である榎本武揚を俎上に載せた歴史小説であるが、では何ゆえに安部公房がこの時期にこのような小説を書くことになったのか。本書の出版は1965年であり、既に『砂の女』(1962年)や『他人の顔』(1964年)といった、後に安部の代表作となる長編を書いた後である。もっとも、さすがに安部公房のことであるから、これも普通の歴史小説にはならなかった。明治初年、厚岸に上陸した囚人たちが根釧原野に消えて行った謎を追うところから物語が始まる、いわばミステリーの要素を持っていた。⇒2024/07/25

モトラッド

33
全体の約3割=116頁まで読んだところで、途中離脱します。故ドナルド・キーン氏の解説は読みました。第一章の導入部は、歴史紀行のエッセイのよう。第二章は、古い文体(を模している?)ため、とても読みづらく、また、いわゆる“安部節”ではないので、読み続けるのが辛くなりました。上梓当時「あの安部公房が歴史小説に路線変更!?」と話題になった作品。なお、同名の戯曲とは別物と考えた方がよいです。これから全集を繙くので、また本作に出逢うかも。その時に、再挑戦します。2025/02/06

おたま

27
安部公房の作品としては、特に読みやすく物語を楽しむことかできました。時代小説・歴史小説のように書かれていますが、やはり安部公房ならではの思想性があり、時代・歴史そのものをテーマとする<時代小説><歴史小説>です。榎本武揚ははたして新選組などに対する裏切り者なのか、時代を先取りした先覚者なのか? 自分もいつか時代に取り残された者の側に回るかもしれないなと思いながら読みました。『第四間氷期』を裏返したような作品だと思いました。2019/01/07

ころこ

27
だいぶ前に、数十ページで挫折した思い出のある作品です。挫折した理由は、幾つか思い当たります。まず、榎本武揚が敗者である上に裏切者で、惹きつけられる魅力に欠けている。次に、作中の考察や議論が事実に基づいているかどうか、分からなくなる。さらに、それらの興味の前提に歴史の教養が必要とされている。榎本という歴史上の人物を評価する観点から読むと挫折しますが、再読では全く違う印象を持ちました。憲兵だった福地という人物の話から展開していくように、幕末と終戦が重ね合わされ、福地の実存も榎本の心境と重ね合わされています。福2018/06/19

しんすけ

25
本書が発表されたのは1965年。当時の書評はあまりよくはなかった。 安部公房が自己弁明のために、榎本武揚を利用したということが、商業新聞の書評にも観られた。安部公房が転向者だったからだろう。 それが奇縁で十八歳のぼくが安部公房って奇妙な名前の作家に興味を持つことになってしまった。 そこには、榎本武揚を嘲笑しつつ負けると判った戦いに挑んだ男の物語があった。 本書は敗者の美学である。 1965年からの数年を学生として過ごすことになったが、それは自身と他に対する疑いの毎日だったと、今でも思う。 2022/07/01

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