内容説明
アメリカが未知の大陸として歴史に登場した15世紀。統一国家への気運みなぎるスペインでは、進取の志高いイサベル女王の保護のもと、新世界に強い関心が向けられた。中世の閉鎖的な異文化観・異民族観をこえ、新世界に普遍的人類社会、ユートピア社会を夢みた、ルネサンス人の思想と行動を考える労作。
目次
1 ユダヤ人の追放
2 コロンブスのヴィジョン
3 中世人の世界像
4 コロンブスの見た世界
5 ルネサンス人の民族誌
6 ファンタジーとしてのアメリカ
7 黙示録的世界としてのアメリカ
8 インディオと植民者
9 崩壊するインディオ社会
10 インディオは人間か
11 ラス・カサスの登場
12 カリブ海における社会的実験
13 メキシコの発見
14 ユートピアの実現
15 ビトリアにむかって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そふぃあ
11
ざっくりいうと、新世界を発見し、征服〜植民地化する過程を、主にキリスト教的な観点からまとめた本。今は絶版になってます。先住民を人間扱いせず、怠惰だから何もできない、自律的に生きられない、だからキリスト教を教え、導かなければいけないってマインドは随分お節介だなあと思うけど、キリスト教徒にとって、手付かずの新大陸は聖書の世界を実現する格好のチャンスだったことは間違いなく、ユートピア実現に奔走した歴史が垣間見えた。もっと簡単に言えば、スペイン人が先住民を都合良く利用し搾取した悲しい歴史に他なりません。2014/12/09
Aminadab
5
通読は三回目くらいか。前半はやさしいが、後半は事項や固有名詞がぎっしり詰まってかなりむずかしい。要するに、スペイン史といったら中世はレコンキスタ、続いて異端審問と対抗改革とアルマダ海戦を経て「没落」という印象が一般的だが、それだけでもないんですよ、というのがこの本の趣旨。副題に「スペイン・ルネサンス」とあるように、16世紀半ばまではスペインでも人文学者やエラスムス主義者の活動が盛んで、『ユートピア』なんかもすごく読まれていた。そのことがアメリカ植民地の発見征服にも反映されている、というのである。名著。2018/11/04
esbee
0
インディオの辿ってきた道を知ると人間に絶望させられる2009/08/03