内容説明
高度経済成長以後、男は泣かなくなった。泣くと笑われるようになった。男が泣くことを肯定するのは日本文学の伝統で、英雄は臆面もなく泣くことで英雄となり、男の涙はヒロイックであることの必要条件であったのに。この大転換の意味を問う「男泣きについての文学論」のほか、「司馬遼太郎論ノート」「大岡昇平」「王朝和歌二首」など、切れ味の鋭い評論10篇を収める。
目次
男泣きについての文学論
あの少年のハーモニカ
司馬遼太郎論ノート
日本文学史を見わたす
四畳半襖の下張裁判二審判決を批判する
里見〓の従兄弟たち
口笛
大岡昇平
王朝和歌二首
扇よお前は魂なのだから
拍手喝采