内容説明
「皇道派」と「統制派」の抗争は下剋上を横行させて軍隊の退廃をまねき、日本を敗戦の破滅に追い込んだ。自からその渦中にあった一将官が、多くの証言を混えて、昭和史の問題点を明らかにする。
目次
第1 上原と宇垣
第2 宇垣の整備、青年将校の反撥
第3 3月事件の真相―荒木の登場 皇道派の擡頭と宇垣排撃
第4 10月事件と皇道派の動き
第5 2.26事件と統制派の発生
第6 統制派の横暴
第7 新衛内閣と日中戦争の勃発―板垣の出現と統制派
第8 統制派軍閥の底力と策謀―板垣と畑の失敗、阿部・米内内閣の退陣
第9 憲兵の暴威と機密費の濫用
第10 大東亜共栄圏を夢見る統制派―3国同盟と大政翼賛会、第2次第3次近衛内閣の出現
第11 征夷大将軍東条英機
第12 再生日本の方向
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Honey
4
昭和10年代20年代の頃の軍内の、ある特定の立場の個人から見たやや?主観的な回想といったところでしょうか。著者の人物評など、当然鵜呑みにはできませんが、1つの資料としては興味深いと思います。2016/08/26
ルヴナン
1
元帝国陸軍将校による告発。皇道派も統制派も等しく軍閥であったと喝破し、政治を壟断した軍部の姿を描く。原書発行は昭和22年、過去を俯瞰する視点はないが、証言の一つ一つは生々しい。2014/06/07
samandabadra
0
皇道派、統制派といった勢力争いの中で、軍部が政治に関与するようになり、ついには、陸軍大臣の任命に難癖をつけ、政権を左右するようになりついには政府を牛耳るようになって最終的に戦争までに至ったその過程を描く。筆者自身も当事者であることから話し半分に聞かねばならないところもあるが、非常に明晰な分析。 解説には内モンゴル、スニト旗の徳王との交流などに関して書いてあったが、そこで、この名前を知ったのだと分かった。2015/09/28