内容説明
夏目漱石を友とし、阿部次郎、小宮豊隆ら多くの人々に影響を与えた、わが国自然科学思想史の開拓者狩野亨吉。一高校長、京大文科大学長を歴任、野に下っては江戸期の思想家志筑忠雄、本多利明、安藤昌益らを発掘する。その事跡と生涯を、同郷の筆者が膨大な資料を駆使して綴る記念碑的大著。
目次
第1編(動乱と揺籃;サルと日本人;大学;仏教)
第2編(金沢;貧窮;ああ玉杯;ふるき都は)
第3編(市井人;安藤昌益;東北の旅)
第4編(せわしい老年;日中戦争;孤り消ゆ)
付(亨吉と漱石;亨吉の住居;地蔵にされた男のこと;発見された昌益の墓)
感想・レビュー
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iwasabi47
1
亨吉の同郷で校長だった一高生の著者。所々に著者の主張や安藤昌益→狩野の思想への解釈の妥当性は判らないが、思い入れある話運びは面白い。亨吉は「頼れられる」人で若い教職時から学生を私的援助して、その報恩の人や反対に山師達が沢山集まってくる。そんな関わりが嫌で官職を捨て古物商市井の人になったのに、なぜか他人が集まりほっとけない。お人好しなのか人間を信用してるというか。しかし女人には縁がない。単行本に入っていた「亨吉と性」は文庫にはオミット。残念。2023/12/29
讃壽鐵朗
1
著者、青江舜二郎とは何者か知らぬが、よくも狩野亭吉にこれだけ打ち込んで調べ書いた事かと感心するのみ。 最初は余りに細々しくて馬鹿臭くもあったが、次第にそれが何とも面白く感ずるようになった。これまで、鴎外の澀江抽齋、ボズウェルのジョンソン伝に挑んで駄目だったが、これは面白くて読了した。
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