内容説明
猿飛佐助、真田幸村、塚原卜伝等の人物を生みあるいは育て、忍者や豪傑が縦横に活躍する痛快無比の世界を築いて大衆文芸の母胎となった「立川文庫」。その成立から終焉に至る事情を詳述し、その魅力の謎に迫る。
目次
源流―文庫創刊以前(立川文明堂の創業;そのころの大阪の出版;文明堂の出版活動;玉田派と玉田玉麟;山田敬と山田都一郎)
創刊と初期
全盛と終末
立川文庫の英雄たち(真田幸村とその影武者;猿飛佐助の成立;石川五右衛門;忍者と隠密;『立川文庫』の終焉)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
果てなき冒険たまこ
3
まずは「タツカワブンコ」だったことに驚き(タテカワだと思ってた、談志師匠は偉大)講談を速記したものを出版してたという事実にも二度目の驚き。猿飛佐助や真田幸村とかそこに夢中になった世代ではないので立川文庫という名前は知ってるけど実態は知らなかったのよね。まさかの家族出版社だとは思わなかったけど著作権云々の概念がないころだからこそできたことなんだろうね。実際の作品を読んでみたいけど図書館にはないんだよなー、やっぱ神保町あたるか。 2025/06/06
二笑亭
1
真田十勇士を生んだ大正期の講談本の盛衰。当初の設定をなかった事にしたり、息子を出して引き伸ばしたりなど、今の長期連載マンガとやっていることはあまり変わらないなと思った。真田十勇士のベースが西遊記という指摘が興味深い。2021/08/19
tkm66
0
明治〜プレ団塊世代までの基礎知識たる《時代劇》の源流。講談社が元々〈如何にカタギな筋では無く〉かつ〈如何に志の低い企業か〉良く判る。2017/03/26
ソノダケン
0
言論の抑圧がきびしかった江戸時代、貸本屋の回路を通じて庶民の文化は育った。貸本業はいったん衰退するが、明治後期に復活した。いまのインターネット文化がそれに近いかな。なろう小説とか。2018/12/07