内容説明
ルイ16世が処刑された日、パリは気温3度で、湿った曇り日だった。ロベスピエールが失脚した日、パリは23度、南西の風だった。大革命の激動に編み込まれた無名の一市民ギタールの日記は、〈正史〉に記されない些細な日常生活のなかに、泣き笑いする人間の姿をいきいきと描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
23
私は歴史上の人物の日記を読むのが好きだ。 然し、面白いかと訊かれれば、ちっとも面白くないと答える。では何故読むのかといえば、やはりその時代を生きた本人の生の声という意味では、一級資料だと思うので、何が書かれているか非常に興味があるからだ。本書は硬派の文庫で知られる中公文庫だけあって文字が小さい。更に800頁を超える長編なので時間と労力もかなり使う。激動のフランス革命下で起きたことなどつぶさに書かれているが、感心するのは毎日、気温、天候は元より、税金、年金、兄妹、友人からの書簡、物価の高騰、薪、2021/10/25
Jirgambi
2
かなり分厚い本だが(あまりにも傷み過ぎて真っ二つに割れた)弾みがつけば、途中退屈な天候の叙述は飛ばしつつも、一気読みできる。それよりも一史料としてなんと興味深い事か。自分の体調や不倫問題(!)、狂乱物価や郵便に対しての愚痴と、ギロチンで処刑された人々の名前やクーデター等が同列に述べられているとは。自身の雑感と社会情勢とを程よく書き分けたギタール氏の筆致と、それを後世にまで残した子孫、そして邦訳者に敬意。尤も後者に関しては「執事」「家人」「従丁」等訳出の使い分けの分かり難さと、無関係な注釈に少々困惑するが…2020/03/23




