感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
38
地味な本である。オックスフォード大学のロシア文学者が、19世紀ロシアの地理・交通・民族・皇帝・農民・貴族・官吏・軍隊・教育・雑誌を英国流の淡々とした客観的な筆致で描写している。目次だけ見ると教科書。しかし1825-1904の80年間はロシア文学のプーシキン、ゴーゴリ、ツルゲーネフ、ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフという錚々たる文学者達の時代だ。実は彼らの描く文学世界の舞台背景は、現代日本は勿論、馴染み深い西欧ともどこか違うのだ。ロシア文学をよりよく読むためにこそ書かれた目的限定のお役立ち本。お勧め2014/09/21
ののまる
15
これからドストエフスキーなどロシア文学を全部読もうと思っているので、その背景などを知りたくて。1825年(プーシキン『オネーギン〜』)から1904年(『カラマーゾフの兄弟』)時期までを、政治・社会・宗教・教育・農民・思想などなど、すべてを網羅して解説してくれていて、しかもわかりやすく、とても面白かった。ドストエフスキーが熱烈な専制政治支持者だったとか、トルストイとツルゲーネフが貴族の中でも超エリートな階級だとか(超仲が悪い笑)、へえ〜!と思いつつ。これからロシア文学を読むのに、より深く味わえそうで楽しみ!2015/10/12
武井 康則
11
1825年から1904年のロシア文学を理解するため、背景となる社会的状況を解説している。その時代の主な作家はドストエフスキーでチェーホフは少し外れる。ゴーゴリやプーシキンも外れる。貴族についてが読みやすく、文学に直結した感がある。写真なども豊富なのだが、現代ならもっと見やすいだろうなと残念。大学でロシア文学を専攻する学生には必携の書だろうが、これを読んでも当時の作家の意識への影響となると、分かりづらいところはそのままだろうな。2021/12/16
taka
1
人物ごと・時系列ではなく、テーマ別にロシア文学史が紹介されており、モチーフの分析などにはもってこいの良書。2020/06/26
narmo
1
長く積読本でしたが、読了。面白かった!文学の観点からの記述を軸としてますが、19世紀ロシアの地理歴史にはじまり、貴族から農民の生活までをすべて覗き見ることができます。ロシアの農奴解放と日本の明治維新の時期が割と近いのに、近代化の仕方がだいぶ違うなぁという印象です。ところで農民(農奴)の生活描写が一番「ロシア」を感じさせました。21世紀になり、こういったロシアらしさがどのくらい残っていくんだろう…? 同時代を同じ手法で描いた日本版も読みたいな〜。2019/07/29
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