出版社内容情報
大阪船場の旧家蒔岡家の美しい四姉妹を優雅な風俗・行事とともに描く。女性への永遠の願いを〝雪子〟に託す谷崎文学の代表作。〈解説〉田辺聖子
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
160
東京出身の谷崎が、この作品では会話の全てを大阪の船場言葉で書いていることにまず驚いた。大阪・船場の上流家庭である蒔岡家とその分家で次女・幸子が住む芦屋を舞台に、四姉妹の三女・雪子の度重なるお見合いを通して戦前の文化や風俗を描いている。豪華絢爛な上流階級の暮らしぶりは第三者から見れば面白く興味深いけれど、家柄や数々の条件を重視しながら決められず何度もお見合いするような文化と上流階級の斜陽は決して無関係と思えず、雪子や妙子はそれらの揶揄に感じた。ちなみに次女・幸子は谷崎の妻・松子さんがモデルなのだそうだ。 2014/06/13
ゆいまある
84
戦前の大阪船場の豪商四姉妹。次女幸子は谷崎の妻がモデルであり、他の姉妹も実在の人物。恋愛体質でじっとしていられない四女妙子、恋せず変化を嫌う三女雪子という対象的な二人、雪子の見合いに振り回される幸子の心の動き、そして幸子の気持ちに敏感なその夫の心の動きを恐るべき解像度で書けるとは並大抵の知性でない。谷崎はこの妻を崇拝していたと言われ、書かれた時代にも関わらず、性別や社会的階級についても差別的な視点が出てこない。出さないのが美学。今読んでも不快な気持ちにさせられない。このフラットな距離感が見事。【KU】2026/02/04
おか
81
上中下巻を一冊の単行本にした本。昭和63年(1988年)に初版発行 その時点で5800円もしてる!!!ってどうでも良い(//∇//)全編を通して三女の雪子のお見合いが中心となり 四姉妹の性格の違い(長女鶴子は本家を守る旧式な女、次女幸子はおっとりしてるが姉妹を何とか纏めようとする優等生、三女雪子はうーん不思議なキャラ、四女妙子は所謂現代っ子で自由気まま)を描きつつ当時の芦屋の良家の子女の生活を追っている。まもなく大戦が勃発するが それでも古き良き時代が表現されている。久し振りに谷崎さんの世界を堪能した。2018/05/28
バイクやろうpart2
73
上中下巻一冊版、ゆるり1ヶ月かけて読み終えました。有難いことに徒歩で行ける所に、細雪を執筆した谷崎旧邸『倚松庵』あります。何度か、旧邸前の石畳に腰かけ、その空気感、感じながら贅沢な読書時間を頂きました。今夏、その旧邸で月一、開かれる『細雪』"語り部さん" のお話聞けたこともあって、三姉妹の部屋の配置を描きつつ頁を重ね不思議な感覚で読み終えました。 また再読したい一冊です。 2017/12/11
NAO
62
下の二人の妹たちに振り回されながらも優しさに溢れている次女幸子がいいですね。ちょっと蓮っ葉とはいえ、現代風で、没落している家に頼らず自分の力で生きていこうとする四女妙子、ここまでひどい目に遭わなくてもいいのではとも思ったけれど、意外と戦後は一番成功者になっているかも。雪子は、大阪の女性の典型として描かれたようだが、どうなのだろう。最終的には、子爵とはいえ無職の人間と結婚したわけだし、終わり方もなんだかだし、そんなこんなで彼女の行く末はあまり明るくないようなのも、どうなのだろう。2016/03/06




