感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
24
モンゴル帝国の西と東の端でその膨張を防ぎつつ、ともに封建制度の破綻と下剋上の混乱に苦しんだ百年戦争の欧州と南北朝の日本の、戦術の違いを含めた比較が面白かった。朱子学の「義」の概念の輸入により死が儀式化・美化されて辞世や切腹が急増することなども。剛毅で好色で冷酷なこの帝王がもしいなければ明治維新は全く違ったものになっただろうという著者の指摘はなるほどと思う。修験道や水軍や寺社勢力のネットワークを生かしながら全国に檄を飛ばしつつ山岳地方に神出鬼没する護良親王の存在感が、その悲劇的な最期とともに印象に残った。2018/01/04
叛逆のくりぃむ
7
三島由紀夫と親交があつた文藝評論家村松剛による後醍醐帝論。當時の出來うる限りの史料にあたり、後醍醐帝の歴史的意義について闡明にしてゐる。児島高徳や名和一族についても觸れており、その點でも興味深い。2015/12/13
nakmas
2
極東の南北朝の騒乱と、同時代に英仏の100年戦争が、時期的な一致だけでなく、支配層の血縁と愛憎を発端として混乱という共通点もあるという指摘から始まる。 ルポとして興味深い一冊。2018/03/19
gibbelin
1
もうずっと20年くらい積読してたのを、隠岐旅行記念読了。2015/10/11
RingGing
1
後醍醐天皇、また南北朝時代について書かれた評論。史料を元にした論であり、小説を読むようには楽しめないが、昭和56年の本であり、研究も変化しているだろうから、頭から信じることもできない。 南北朝時代について、戦後どころか平成の世に生きている僕達の世代は、あまりにも知らないことが多いと思う。後醍醐天皇、足利尊氏、楠木正成、新田義貞……という名前を知っていても、そういった人物にどういった出自があり、どのような合戦や政治上の働きをし、どのように死んだのか、語ることそのものがタブー視されている感じがする。大河ドラマ2014/03/08