感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
16
ついに中公文庫版アダム・スミス「国富論」全三冊完読。第三分冊は道路・運河などの公共事業、教育、そしてそれらの支出を賄うための税、公債について論じる。スミスを「市場放任主義者」とする通俗的な誤解が今なおあるが、この第三分冊の公共事業・教育などの項目を読めばスミスは市場の働きを守るために国家の役割をとても重要視していることが分かる。そして公共支出を賄うための国債増発は財政破綻を招くことになると警告している。「国富論」は経済学の永遠の古典として今後も多くの人に読み継がれるべきである。2021/03/22
mkt
4
軍事費は社会進歩の段階によって異なる/歴史は常備群の優越性を証明している/司法費も社会発展の時期によってことなる/行政権力の直轄は弊害が大きい/合本会社が排他的特権なしで営んでうまく行くのは、銀行業、火災、海難、各保険業、掘割や運河を作ったり維持したりする事業、給付維持寄与/国は取り分け庶民の教育に配慮する/財産の移転にかける税は、その資本幸に食い込むことがある/関税と消費税はその収入額に比して多大な徴集費を要する点で租税の第四の法則に当てはまらない/ 20220303読了 568P 85分 2022/03/03
ガイちゃん
2
国家の収入についてまとめられている。 公費によって教育を行うことの分析や租税というものを掘り下げてそれも重商主義の批判につなげていた。総じて、現代に通じる内容で読みやすかった。2019/02/23
Orange
1
3巻では、軍事や司法、教育などに言及されている。経済は理論で表現するには限界があり、人々の行動の複雑な絡み合いである以上、それを解きほぐしていく上で、上記のテーマも避けて通るわけにはいかなかったのだと思う。人間社会に対する眼差しというか。スミスは生涯をかけて見つめて考え続け、丁寧に丁寧に、推敲し、脚注を書き、本文を追加、削除し版を重ねた。これを読んで良かったわ。2017/06/30
溝旗昌吉
0
第五篇は軍事、司法、交通インフラ、教育といった国家の主権者が果たすべき義務について、それらの義務に必要な経費を地代、利潤、賃金、消費財からどのように徴収するのが最も公平で明確で納税者にとって便利で徴収にかかるコストを節約できるか、さらに戦時の臨時経費を賄う公債について論じている。最後は植民地は本国と同じ税制の下で納税すべきでそれが不可能なら植民地から撤退して経費節減を目指すべきだという大胆な主張で締めくくる。個人の自由な裁量に任せるのが国民全体の利益を最大化するという考えが根底にあるように思われた。2017/02/19