中公文庫<br> 中世の秋 〈下巻〉

中公文庫
中世の秋 〈下巻〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 383p
  • 商品コード 9784122003828
  • NDC分類 230.4

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

32
当時の記録(年代記、覚書、日記、公文書、取引文書等同時代人の記述すべて)を検討するに当たり著者は、自身の思考作法に変えて後期中世の人々の作法の調子を掴み、かつその調子のもとに読み解こうとしている。著者がそのような態度を選択するきっかけとなったファン・アイク(及び同時代の画家たち)の仕事を取り巻く記述がこの下巻の核になっており、これがまた面白い。いわゆる北方ルネサンスと呼ばれる絵画特有のぎこちなさを、その時代の限界としてきちんと指摘した文章に私は出会ったことがない。時代を超えないものこそ次の時代を指し示す。2017/04/03

れぽれろ

3
14~15世紀(中世末期)の西欧についての考察、下巻はこの時代の思考と芸術の傾向についての分析が中心です。時代の特徴として、装飾過多の派手さと静謐な敬虔さの同居、洗練と滑稽・高尚と愚劣が未分化であり、論理性に弱く形式的で観念的、バランスやリズムに欠く代わりに細部への異常なこだわりが見られ、遊戯性やアイロニーの要素が強い。この時代の最も洗練された作品がファン・アイクなどの視覚芸術であるとされ、これらの作品が近代の始まりではなく中世の完成として評価されています。中世~近代を断絶ではなく継続として考える一冊。2014/02/09

彩菜

2
中世末期の芸術の中で何故アイクに代表される造形美術だけが現代に通じる輝きを持つのか、ホイジンガはこれが知りたかったのかもしれないな。彼等の思想は古く、その写実は自然主義の萌芽ではなく中世の視覚偏重・イメージの具象化の行き着いた果てで、主題の付随的・装飾的意味しか持たないものだった。でも、その副産物として手に入れた写実という造形こそが対象に寄せる関心の深さや人間存在を見抜く洞察力となって今、私達の心を動かす。ホイジンガはそう思っている。そして私も。2018/07/05

miura

1
シンボルとか、魔法についての考え方が今とは違ったんだろうなあ。当時の雰囲気が朧げながらわかった気がする(あくまで気がする)。2022/01/21

更新停止中

1
あまり集中できずに何故か妙に読むのに苦労してしまった。昔聞いた民族ジョーク的なものに「ドイツ人は極端から極端に走って真ん中がないので、ドイツで売れる音楽はクラシックか、こってこてのヘビメタか、ごりごりのハードコアテクノしかない」と言うのがあるんだけど、この書に依れば多分これは中世末期の北方人の気性を受け継いでいるんじゃないか、とか余計な事ばっかり考えていたせい。2011/10/06

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