中公文庫<br> ユーラシア大陸思索行

中公文庫
ユーラシア大陸思索行

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  • サイズ 文庫判/ページ数 287p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122003040
  • NDC分類 292.09
  • Cコード C1125

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobody

14
色川大吉ファンなら満足するだろうが、そんな読者はほんの一握りしかいなかっただろうし、色川の色を知らずに読んだ大多数の読者は写真が1枚もないのに辟易しながらサヨク学者というものへの軽侮に陥るだろう。対照的に本多勝一のルポルタージュがいかに優れているかを引き立てる。誰も色川に文学的な表現や風景描写や難解な漢語を求めはしない。それらが活きていれば別だが、稚拙で鼻につくだけだ。司馬遼太郎『街道をゆく』の世界版でも気取ったつもりか、それなら色川の専攻は近代日本史なので役不足だ。資金も潤沢なようで旅がスマート過ぎる。2017/04/15

サラダボウル

11
1976刊。歴史家。キャンピングカーで欧からインド4万キロを、日本の民芸品を手に脇道を行く。徹底して、民衆を視座に据える。日本を「発見」(うるさいなーとの呟きあり)の鉄砲伝来の地から出発。戦前のスペイン戦争。独の若者ですら参加、各国から集まった市民義勇兵。ゲルニカの惨劇。ウイーンでは、明治憲法起草の関係家族を訪ねる。アジアへ思索は続く。出版当時の日本は高度成長期達成の狂乱の中。戦争を生きた教授の、誰はばかることのない言動は反発があったかもしれないが、民衆への温かい熱い心は澄み切った流れとして途切れない。2020/07/31

かしたか

3
リスボンからカルカッタまでキャンピングカーで走破するという旅の壮大さに惹かれて購入。個人的にはいまいち。思索行というタイトルの通り、旅に沿って自由な思索が展開されるが、説得力のない独りよがりの思索が多いと感じる。所々、キザっぽい文章や感嘆符!の多用も目に付く。はっきり言うと、放浪している自分自身に酔ってしまっている著者の姿が文章の向こうに見えて白けてしまった。2012/10/18

Hiro

1
学者には珍しい、逞しい、驚くべき旅行記だ。著者は所謂、昔風に知識人の範疇に入ると思うが、こんな、欧州からインドまで車で野宿や安宿止まりをしながら5万キロを半年で走破した人など他にいただろうか。1971年のことなのでまだ社会主義信仰はありイランは宗教革命前、その他今日の世界とは事情は随分違う。しかしゲルニカを訪れ世界が関わったスペイン内戦に思いを馳せる件りでウクライナを想起せずにはいられないしウィーン郊外に明治憲法の原点を辿る箇所やトルコ、イラン、アフガンの当時の様子など今改めて腑に落ちる観察に満ちている。2023/07/08

naomi

1
今や遠い国になってしまったアフガニスタンの描写や、印パ戦争直前期のインド、特に東パキスタンとの国境付近の様子がすごく貴重に思える。女性蔑視な描き方は時代もあるが、引いてしまう。 同郷の筆者の言う、犬吠埼でみた少女が印象深い。2021/03/05

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