中公文庫<br> 芥川龍之介(下) 〈下〉

  • ポイントキャンペーン

中公文庫
芥川龍之介(下) 〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判
  • 商品コード 9784122002449

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shinano

28
下巻は非常に主観的な芥川作品論が展開される。宇野浩二という作家を知らないでこの作品作家論を読むと、彼の直情な感想は芥川愛読者から批難を受けるかもしれない。しかし、宇野も一代をなした作家であるから友芥川の才能を認め人間性を悲しいくらいに讃嘆し、芥川の本質や癖を看破している。特に晩年に近い作品群での芥川の文章に露見させている死の意識と生の葛藤や、隠そうとしても滲みでてくる芥川の苦悩と奮起を的確に読み取っている。心身ともに病みもだえる芥川を心底同情し憂えている。友芥川への思いが濃いのにうたれた。2011/07/25

毒兎真暗ミサ【副長】

26
芥川の思い出話。上巻から罵詈雑言の恨み節は続く。久米に誘われて文壇に入った芥川の創作秘話に話は移り。視点を変えれば「友達に書いてあげた小説がたまたま評判が良く偶然漱石に気に入られた」という事だ。つまり芥川は他人のために生きている人だったのだろう。芥川の小説は薄気味悪いと言う宇野氏。文学者であるかそうでないか、その才に違いがあるというのなら。その不気味さの奥に燻る不知火が見えるかどうかだろう。其の色、匂い、燃え上る芸術を、誰かと頒かちたいという欲望。宇野氏は芥川が好きだったのだろう。少なくとも500頁分は。2023/09/14

michel

12
芥川に如何わしい所へ連れ出されたり、「ゆめ子」にちょっかい出したり、「秋風やもみあげ長き宇野浩二」なんて詠んだり。イヤァな面も含めて様々な面を見て、なんともいえぬしみじみとした哀惜の思いが書きつづられる。作品にもズバズバと遠慮のない酷評の数々。でもそれが、芥川に対する親愛と敬愛に満ちている。〈私は、芥川の小説は芥川といふ人間よりもすぐれていたのではないか、といふようなことを、ふと、思うことがある、が、また、芥川の小説より芥川といふ人間の方がおもしろさに於いては、ずっとおもしろかった、とも思ふのである。〉2022/01/01

5
宇野浩二の次の言葉が熱く感じる。「或阿保の一生」の最後の「敗北」という章の初めに、「彼はペンを執る手も震え出した」という文句がある。それを、大抵の評論家も、多くの人も、芥川の文学の敗北を意味する文句のように云う。しかし、それは、違う。芥川は、死ぬ時まで、芸術家であったのだ。されば、芥川は、決して、文学に敗れたのではないのである。 2019/10/11

くじらい

0
芥川龍之介の親友であった作家、宇野浩二による回想録。意地でも自らの発狂(梅毒による)を認めず、同時に芥川を精神病と決め付ける宇野の姿を踏まえて読むと、また違った面白味がある。2015/04/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1978882
  • ご注意事項

最近チェックした商品