出版社内容情報
人間性にひそむ矛盾を鋭くえぐり、真の人間幸福の問題を追求した本書は、あらゆる時代を超えて現代人の生き方にせまる鮮烈な人間探求の記録である。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
50
2013.03.20(つづき)パスカル著、前田陽一ら訳。 2013.03.20 (第5章、正義と現象の理由、つづき) 301.なぜ人は、多数に従うのか。 かれらが一層多くの道理をもっているからなのか。 いな、一層多くの力をもっているからなのだ。 303.この世の主人は、力であって、世論ではない。 力が世論を作るのだ。 307.大法官は、いかめしく飾り立てた法衣をまとう。 彼の地位は見せかけのものだからである。 325.モンテーニュは間違っている。 2013/03/20
i-miya
45
2013.02.03(つづき)パスカル著、前田陽一ら訳。 2013.02.03 (正義と現象の理由、つづき) 二九四. ある人は、正義の本質は、立法者の権威であるといい、他のものは、君主の便宜であるといい、他のものは、現在の習慣であるという。 すべてのものは、時と共に動揺する。 習慣は、それを受け入れてくれる、という。 ただ、それだけの理由で、公平のすべてを形成する。 2013/02/03
i-miya
42
2013.07.15(つづき)パスカル著、前田陽一ら訳。 2013.07.13 第5章、正義と現象の理由。 三三七. 現象の理由。 民衆は高貴の生まれの人々を好む、敬う。 三三八. 真のキリスト者は、それでもなお、愚かなことに服従する。 それは、愚かなことを尊敬するからではなく、人間を罰するために、これらのおろかなことに彼らを服せしめられた神の秩序を尊敬するからである。 2013/07/15
イプシロン
39
『パンセ』は欧米では聖書のつぎに多く読まれているといわれている。そのことが事実であり、かつパスカルが本著で述べていることが正しく解釈されているなら、それは素晴らしいことだと思った。だが、それはなかなか難しいのではないかと……。その理由は、『パンセ』が単なる思想哲学書ではなく、教義について深い知識を持つ人向けのキリスト教護教論であるからだ。よって、内容を把握するには教義はもちろん、なぜパスカルが本書として編纂される無数の断章を書き残したのかという前提知識が必要であるからだ。何も考えずに読みはじめても2021/05/04
やいっち
38
久しぶりに読んだ。とんでもない科学の天才。が、彼には科学や思想より宗教にのめりこむ。病と闘いながら宗教や信仰を極める。痛みを忘れるため数学に集中したりしつつ、神への信仰の絶対性を説く。そこまで説くというのは、神を絶対的に信じているのだろうし、神の絶対性が揺らぐ事態への危機感があったのだろう。その背景には、神なき世への不安があるのだろう。際限のない宇宙と、どこまでも終わりのない微細な世界。人間は常にその中間で揺らぎ続ける。悪と善、神と不信、美と醜。そう、何処まで行っても人間は中間者なのだ。2018/02/12