内容説明
イギリス古典経験論の掉尾を飾る懐疑的経験論。
目次
人性論
原始契約について
著者等紹介
ヒューム[ヒューム][Hume,David]
1711~1776。イギリス古典経験論を代表する哲学者。スコットランド南東部ベリクシャーのナインウェルズ生まれ。エディンバラ大学で古典とともにロックやニュートンの「新しい学問」を学ぶ。哲学や文学への欲求が強くフランスに渡る。『人性論』三篇を著し帰国後に出版。『道徳・政治論集』『人間知性研究』『政治論叢』『イギリス史』などを次々と刊行、思想家としての地位を不動のものとする。その間、エディンバラ、グラスゴー両大学の教授に推されるが、無神論者との世評から選に漏れる
土岐邦夫[トキクニオ]
1929年(昭和4年)長崎市生まれ。京都大学文学部哲学科卒。岡山大学教授を経て名誉教授。1999年(平成11年)逝去
小西嘉四郎[コニシカシロウ]
1927年(昭和2年)島根県生まれ。東京大学文学部哲学科卒。関東学院大学教授を経て名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
70
どうもに苦手な感じの内容で、ヒューム自体の文章は易しいのですが、内容を理解しようとするとだめですね。カントの哲学の本(三大批判)を読んでいる気がしました。最初にある解説の一ノ瀬先生のがすべてだと思って読みました。2015/09/27
サゴウ
54
人間には確固たる知性があり堅固に世界を認識していると思っていたが、結構適当なのかもしれないという印象に変わった。ChatGPTは統計的に近い関係性の言葉を次々紡いでいるだけだが、それでも人間らしい文章になるのはまさに人間の理性はヒュームのいうような不確かさゆえではないか。AIが発達して機械の凄さと同時に人間のいい加減さもわかってきた。理性なんてそんなものだという気楽さがよい。色々なもの(印象、観念、対象)がバラバラに存在し、ある程度まとまると因果関係らしきものなり一応の理性ができるという理解。2024/08/10
ころこ
39
『人生論』ではなくて、『人間本性論』の略です。経験1、経験2、経験3とあり、経験4が原因と結果に分節化され、抽象化、一般化されるのが普通です。ところが、経験1から一語文的に固有の出来事として経験される…彼にとって、ある経験は因果関係により分節化されて捨象される法則など無く、経験の全体性として受け止められる。経験4もまた固有の経験である。ヒュームを発達障害のような(文脈が無い)文脈で読み替えることが出来そうだというのは全くの思いつきですが、ヒュームの再評価には時代の病に対する視線が無関係とも思われません。2019/07/05
特盛
29
評価4.5/5。人間の物事の認識や判断を、自分の現象的観察からとことん正直に綴った本。人の認識パターンって実はこうだよね論。観察できるのは全ては知覚(と記憶)!知覚は印象と観念。でも因果律なんてどこにも見えないぞ!それって習慣とそれによって形成される信念で、どっちかというと感情的なものだよね。と。何が印象的って、神やら形而上学をぶった切る、言ってはいけない的なことをバスバスいう点。もう一つは因果性も基礎には類似・近接・必然的結合(恒常的相伴・習慣)と整理する切れ味。18歳で着想し出版は24歳とはたまげる。2024/08/21
ドン•マルロー
22
カントに多大なる影響を与えた哲学者ヒュームによる人生論。人生論と言っても通俗的な啓蒙を促すような内容ではもちろんなく、哲学の根本を改めて問いただすような試みが綴られている。2018/02/04