出版社内容情報
昭和史に屹立する北一輝の主著。早熟の鬼才・北の、国家と国民、天皇と国民を鮮やかに逆転させ「天皇主権」のパラドクスを描く。
内容説明
日本はどうあるべき国家か。その像を求めた昭和戦前期最大の問題作。
目次
国体論及び純正社会主義(抄)
国民対皇室の歴史的観察―所謂国体論の打破
自殺と暗殺
支那革命外史(抄)
書簡
著者等紹介
北一輝[キタイッキ]
1883~1937。国家主義運動の理論的指導者。本名輝次郎。新潟県佐渡市に生まれ、早稲田大学の聴講生のかたわら、ほぼ独学で『国体論及び純正社会主義』を執筆、自費出版するも発売を禁止された。1919年、上海で『国家改造案原理大綱』を執筆、これは天皇大権の発動によりクーデターで国家改造を実施する構想のもので、のちに『日本改造法案大綱』と改題され、皇道派青年将校に大きな影響を与える国家主義運動の教典となった。三井財閥から活動資金を得るなど政財界の裏面で暗躍したが、二・二六事件で黒幕と見なされ銃殺刑に処された
近藤秀樹[コンドウヒデキ]
1932年(昭和7年)新潟県生まれ。京都大学文学部史学科、同大学院文学研究科博士課程修了。新潟大学教授。中国近代史専攻。1983年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さきん
13
字は音読をしないと読みづらかった。着目している点は慧眼というべきところが多かった。当時の科学の情報は古いので、それに対する考察には甘いところもあり、若年の著者らしく決めつけも多い。天皇制や経済格差、生態と人間社会の比較など刺激的な内容が続き、最後は中国情勢の話になる。出来れば統計データなど視覚に訴えるものや読みやすい現代語訳が望まれる。2016/03/30
BLACK無糖好き
6
本書には「国体論及び純正社会主義」(抄)、「国民対皇室の歴史的観察」、「自殺と暗殺」、「支那革命外史」(抄)、内田良平他への書簡が収められています。国体論では既成の仏教やキリスト教を向こうに回し、独自の進化論や有機体論を展開する。外史では辛亥革命で激動の中国で、孫文批判、日本の外交政策への批判が展開される。盟友 宋教仁を暗殺で失った事による激しい憤りが溢れ出ている。武昌蜂起後の革命現地体験が、後に理想とする社会主義国家建設のための手段として、武力クーデター示唆への道につながっていったのではと推察します。2015/11/03
汀松@真言宗
3
元となった中公バックス版(日本の名著シリーズ)で読んだ。文体は読みにくいが、今まで抱いていたイメージが変わった。クラシックス版には収録されているかどうか分からないが、バックス版の冒頭解説は必読。北一輝についてボロクソに書いている。「彼は少女の排泄や脱糞を想像するのが好きだったのだろうか」「10で神童、15で天才、20過ぎればただの人」などさんざんの言いようである。もう少し読む気が起こる評伝にして欲しかった2013/01/30