出版社内容情報
ソクラテス、プラトン以来のギリシア古典哲学を総括し、その流麗な名文が、西洋神秘思想の源泉ともなった新プラトン主義の精華
内容説明
新プラトン主義と宗教神秘思想を結合した特異な思想家の遺した画期的文集。
目次
美について
エロスについて
自然、観照、一者について
英知的な美について
グノーシス派に対して
一なる者の自由と意思について
『エネアデス』要約
著者等紹介
プロティノス[プロティノス][Plotinos]
205~270。ローマ時代の哲学者。「新プラトン主義」の開祖。一説にエジプト生まれとも。27歳で哲学を志しアンモニオスの弟子となる。48歳から著作を始め、『エネアデス』において「一なるもの」を頂点とする全存在の階層的統一構造化論で独特のプラトン理解の体系化を示し、またオリエントの神秘思想とギリシア哲学の融合を図ったことも特筆される。プラトン的理想国家「プラトノポリス」を構想した
田中美知太郎[タナカミチタロウ]
1902(明治35)年生まれ。西洋古典学、哲学専攻。京都大学名誉教授。1985(昭和60)年逝去
水地宗明[ミズチムネアキ]
1928(昭和3)年生まれ。哲学専攻。滋賀大学名誉教授
田之頭安彦[タノガシラヤスヒコ]
1928(昭和3)年生まれ。哲学専攻。東京学芸大学名誉教授。2003(平成15)年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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syaori
61
本巻は美学・芸術論としても価値の高い『美について』などを収録。作者の作品中最も充実したものの一つと言われる『自然、観照、一者について』から続く四篇を特に興味深く読みました。流出説では流出して生成した感性界(地上)はその上位の世界・知性界の影像だとされるのですが、だから世界は劣悪なのではなく、だからこそ世界はあり得る限りで美しいのであり、人は地上の不完全さを探すのではなく「この地上において」「できるだけ最良の者になるよう努力すべき」なのだと説く、高く掲げた理想を目指す力動性は素晴らしく、胸が躍るようでした。2021/09/02
加納恭史
13
アウグスティヌスが聖書解読に新プラトン主義のプロティノスに強く影響されたことについて、確認するためにこの本を読む。美について人は何かを想起する。ある人は知性界を思い出すとはなかなか信じられないな。知性界とはイディア界の一つ。まあ霊界のことだけれども。続いてエロスについて語り出す。エロスについてはプラトンの「饗宴」にあった。そのうちにまた読むかと思っていたが、この本に詳しい解説があり驚く。ギリシャ時代のプラトンからローマ末期のプロティノスまで良く残ったものだな。プロティノスのプラトン理解は更に深く発展した。2025/03/30
マウリツィウス
13
【プロティノス】『単子論』系譜に位置するギリシャ/新約の背景性を求めた異端対抗への意味録、古典古代ギリシャ語が形成するも否定された諸言行録、『エネアデス』は否定神学の側面ではなく古代と中世を連結させた可能世界と記号論で計算された表象世界図という結論、異端と異教の意味作用に過ぎなかった旧約聖書律法像を改変した新約聖書外典資料との共通性は疑似古文書の修辞表現から徐々に消滅されていく。時代変換と成長を踏まえて発展形成された根拠表明は中世異端と位置される分派を塞ぎとめていく。古典語法からの新約異端文書反再現録。2013/06/01
加納恭史
12
プロティノスに夢中になったが、まだエネアデスⅡの残像がある。そのの言葉のしおりで、この感性界の美は(あの知性界の美の)映像にすぎず、いわば(あの世あら)脱け出し、素材(界)に降りてきてこれを飾り付け、(その素材を身をまとって)姿をあらわし、我々をびっくりさせる亡霊(影)のよう。感性界の美よりも先にある美について、これはもはや感覚ではとらえられず、魂が感覚器官を用いないで見たり語ったりするのであり、この美を観る為には、感性界から上に昇っていき、下の世界に留まっている感覚をかえり見ないようにしなけれならない。2025/04/01
暁
0
抄訳なのは気に入らない
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