出版社内容情報
『狂雲集』は漢詩の形をとった禅語録である。自ら狂雲子を名のり、はぐれ雲のように生きた一休は、新しい時代の幕開きをまえに、混迷と倦怠に覆われた室町の世相を激しく痛罵した。
著者等紹介
柳田聖山[ヤナギダセイザン]
1922年(大正11年)滋賀県生まれ。現在、花園大学・京都大学名誉教授。国際禅学研究所終身所員。日中友好漢詩協会顧問。著書は『柳田聖山全集』(全6巻)『禅思想』『一休狂雲集の世界』『ダルマ』『未来からの禅』などがある
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感想・レビュー
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やいっち
75
本文を読了し、注釈に突入。素養のない人間(自分のこと)には、敷居の高い本。詳細丁寧な注釈をいちいち参照していたら、とてもじゃないが、先へ進めないと、本文のみまず読み切ることに専念してきた。 それでも、数か月を要した(休み休み…長い中断をはさみつつ)。 座右に置いてから、あまりに長すぎる。この一週間、集中的に読んだ。読んだと言える自信はなくて、字面を眺めただけ。一休禅師の痛棒を受ける思いをしただけでも、本書に対面し続けた意義はあったと思いたい。日本人の手になる漢文(漢詩)で一番難解だった。 2018/02/28
神太郎
29
最初は漢文、注釈、現代語訳とみていったのだが、段々と注釈がこの文の出典元とかを書いているのみに留めてるので、途中から読み飛ばし、漢文と現代語訳(主にはこれのみ)を読み進めたので、おそらく根本は理解できてない。ただ、一休さんが単なる丸坊主のアニメのようなキャラクター化された人物ではなく人間としての一休さんをわずかにでも知れたのはよかったかな……。2021/03/26
テツ
10
正月にめでたい気分の人々の間を、頭蓋骨を下げて「ご用心ご用心」と練り歩いた一休宗純の歌集。本当に何も考えずに幸せな気分に浸っていて良いのか。死はいつ訪れるか解らないのに。それでも本当に幸せなのか。正直彼の歌自体にはあまりシンパシーを感じないが、囲いを破ろうとする意思、世界の在り方に疑問を抱く姿勢、周囲の作り上げた空気に疑いを持ち続ける態度。そういった生き方その物にはとても理解できる。2015/01/01
こうすけ
8
川端康成のノーベル賞スピーチで触れていたので読んだのだけど。 「○○曰く」を「○○のコメント」と訳す感じがそこかしこに出るのが、どうものれず。自分にはまだ修行が足りなかったのかもしれない。2020/06/11
dexter4620
2
どこかで紹介され手にとった一冊。一休さんの名僧のイメージを覆す、自己の欲望に関する表現に驚きを感じた。当時の生活や僧の考えていた事が垣間見える点が良い。一方、注釈まで手を広げると難解なため、日本語訳を拾い読みするのが正しいのではないかと感じる。2023/10/29