出版社内容情報
15歳でカメラを手にしてから約70年。浅草橋の洋食屋「一新亭」を営むかたわら、趣味で撮りためた風景写真は、東京の貴重な記録となった。下町の風物詩や、よく知られた街の昔の姿、今は見ることがなくなった懐かしい街の風景……。読売新聞都民版の人気連載「秋山武雄の懐かし写真館」から72編を選んだ、中公新書ラクレ『東京懐かし写真館』の続編。
内容説明
70年にわたって撮りためた数万枚のネガから、浮かび上がる東京下町の風景―。浅草橋の洋食屋「一新亭」を営むかたわら、趣味で撮りためた風景写真。懐かしい街の姿と思い出が、モノクロ写真の陰影から甦る。読売新聞都民版の人気連載「秋山武雄の懐かし写真館」から、選りすぐりの72本。
目次
あの街、あの頃
街中の風景
季節のうつろい
ひとの暮らし
元気な子どもたち
明日に向かって
著者等紹介
秋山武雄[アキヤマタケオ]
1937年生まれ。写真家。洋食店「一新亭」を営むかたわら、15歳の頃から趣味で、都内を撮影し続けている。一般財団法人日本カメラ財団(JCII)講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばう
62
東京浅草橋で洋食屋さんを営む傍ら秋山さんが15歳の頃から約70年の間に趣味のカメラで撮りためた写真は何と10万枚以上。その中から新聞に連載された写真の数々が載せられています。写真も良いけれど、その写真に纏わる秋山さんの文章も面白い。5、60年前の東京は発展しつつある場所とまだまだ長閑な場所が共存するとっても魅力的な町。何より人々の目に力が感じられて日本が伸び盛りだったんだなということがよく分かります。もうこの時代は戻らないし50年後の日本もどうなっているか分からない。だからこそ写真が貴重に思えます。2021/03/03
ぶんこ
44
懐かしの写真帖2冊目。昭和の下町の様子がしっかりと捉えられていて懐かしい。私が子どもの頃の夏祭りといったら、町内会でお揃いの浴衣、そして特筆すべきは小学校が確か午前中だけで早く帰宅できたこと。それが何年生までだったかは覚えていませんが、車の往来が激しくなってお祭りの御神輿は地方の町へ譲られました。子どもの遊ぶ声、物売りの声、騒がしかったけれど、それで苦情が出ることもなかった大らかな時代だったのかも。ところどころ戦争の話も出てきて、語り継ぐ人々の高齢化を実感。まだ10万枚以上の写真が残るとか。もっと見たい。2021/04/28
わんつーろっく
20
読売新聞都民版に連載されている「秋山武雄の懐かし写真館」からの選出第二弾。当時の人々にとっては当たり前の風景でも、若かった秋山氏にとっては、行く先々で出会う街並みや人の営み、そのすべてが新鮮に映って、夢中でシャッターを押したという。衣替えに欠かせない張り板、爪皮って何?おがらって骨に見立てたものだったのか、写真を見ながら母との会話が愛おしい。お正月、銭湯の朝湯に浸かったあと、着物着せてもらったっけ。ところで今は子どもの社交場ってどこなんだろう。2021/06/19
bapaksejahtera
13
浅草橋の料理店の写真趣味の御主人が、新聞に連載した写真コラムを纏めた物らしい。本書は続編に当たる。私から丁度一回り上の著者が,30歳過ぎから撮った写真が中心。余り古い写真はないが、確かに今ではなくなった被写体が多い。現在の街を眺めても、店といえば「外食」の料理店ばかりで、様々にあった小売店は殆ど消失。全てがコンビニと集合住宅になってしまった。昔はうちの周りにも味噌屋やロープ屋なんてのもあった。本書は写真を基に秋山氏が話した語り口そのままに新聞社が上手に編集した文章が面白い。「正篇」も手に取ってみたくなる。2025/03/15
きゅー
8
東京・浅草橋にある洋食屋「一新亭」の主人が撮りためた戦後東京の写真の数々が収められている。写真だけではなく、秋山氏による下町の風情を感じさせるきっぷの良い文章が本書の魅力となっている。1968年に豊洲で撮影された写真には、うら寂しい田んぼの風景と、その背後にしっかりと映える富士山が美しい。上野にあったレストラン聚楽台、テレビが鮮明に映るようにと高く伸ばされたアンテナ、運動会のパン食い競走など、懐かしくも今では見ることの出来ない風景の数々。半世紀という時の差をまざまざと感じさせれる。2021/09/28