内容説明
火災研究でわが国トップレベルにある東京理科大学の研究成果を一冊に。火事がおこるしくみ、被害の現実、防災の心得などを一般向けにまとめた。ビル火災から家屋火災まで、これで万全。
目次
第1章 火災を知る―意外と知らない危険性(1970年代は火災惨事ラッシュ;目前に迫った「火災死爆発」 ほか)
第2章 火災を科学する―世界最高水準の実験・研究で解明(火災とは何だ?;体系化困難な火災現象 ほか)
第3章 火災と闘う―日本とアジアの生命を守るために(社会システムとしての火災安全対策;モデル火災反映し「要求性能」見直しも ほか)
火災を理解するための用語25
著者等紹介
辻本誠[ツジモトマコト]
1974年東京大学工学部建築学科卒。78年同大学院工学系研究科博士課程中退、名古屋大学工学部助手。93年名古屋大学教授。97年建設省建築研究所。99年名古屋大学大学院工学研究科教授。2004年東京理科大学教授。主に火災安全工学が専門。工学博士。建築研究所時代は建築基準法防火規定の性能規定化を担当。現在、日本建築学会副会長、国土交通省建築法体系勉強会委員など。愛知万博のドライミストの考案者である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ようはん
18
理系知識は不得意な為に難解な箇所が多く読むのに苦労した。東京理科大学の火災実験装置の豊富さには驚くが火災対策が着々と行われている反面、技術の進歩が逆に新しい火災事例を招いているイタチごっこであり火災の完全撲滅は困難である感じる2024/09/24
mura_ユル活動
18
東京理科大の火災安全工学教授。防災・避難計画は、非常時での心理状態や消防設備の適正な管理と使用方法を含めて考えることが必要となる。極めて一般向けに記載されている。関心事①火災による死者は、1980年から概ね毎年1,400人程度で変化なし。防火規定の厳格化や生活様式が変わったのに何故か。増え続けている高齢化が大きな理由。出火率が高い。今後、特に共同住宅での高齢者のケアが必要。関心事②地下鉄の延伸進むも、新しい駅ほど深度が大きくなる。特に飲食店があると出火率が高くなる。2013/06/09
aochama
2
火事の仕組みを説明する第1章は、読みごたえありましたが、その後の研究成果の解説は、かなり難解でした。用語集もあり、関係者には便利そうです。全体の通読というより、参考資料としてつまみ食いに適している感じでした。2020/06/28
てくてく
2
火災は一人暮らしの高齢者のリスクが高いこと、気密性の高い家ならではの火災の危険性、高層ビルや地下街で火災が発生した場合にどう備えるべきか(都市工学)、といったことが簡潔にまとめられている。東京理科大学PR感も抱いたが、それでも火災を専門的に研究する施設があることが心強いと思った。2015/07/14
ヨードー
1
高気密住宅はフラッシュオーバーを起こすまでの時間が短い。外気との換気量が少ないために、1階の台所の僅かな燃焼で3階の家族全員が一酸化炭素中毒死することがあるという。換気扇を回さずにガスコンロを使用し、一酸化炭素中毒で死亡する事故が年に10件程度も起こっている。 1階の診療所で出火し5階の窓を煙を出すため窓を開けると一挙に煙が噴き上がり煙道にさらされた事故は予想外。 尚、2021年現在では出火原因の1位はタバコ、2位が放火となっている。2022/07/03