出版社内容情報
親子そろって「自己チュー」はいまやどこにでもいる。「かけがいのない自分」が暴走するとき、社会はどこへ向かうのか。最新論考
内容説明
子どもの問題は、親を語らずして解決できない。モンスター・ペアレントに向き合い、現代の家族を解読した注目の本。「かけがえのない自分」が暴走するとき、社会は悲鳴をあげる。
目次
第1章 フェアプレーなきヒーロー―亀田親子について
第2章 「オンリーワン」はそれほど大切か?
第3章 秋葉原事件をめぐって
第4章 「親」は何をしてきたのか
第5章 モンスターペアレントの「妄想」
第6章 「自己チュー」の発生源としての家庭
第7章 理不尽と非合理の効用
著者等紹介
諏訪哲二[スワテツジ]
「プロ教師の会」代表。日本教育大学院大学客員教授。1941年千葉県生まれ。東京教育大学卒業。現場教師として、埼玉県立川越女子高校などの教諭を歴任し、2001年3月に定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
48
2009年刊行の本書であるが、喫緊の案件があり再読するも、大変に有益なヒントをもらうことができた。著者は冒頭、「いま日本では、これまでとは異質な人間の類型が登場してきている。」と記し、その新しい人間類型を「自己チュー」な人たちであるとする。「私」そのものを絶対化し、自分への懐疑を持っていない人々、親と子の姿を著者は様々な例を挙げながら、考察していく。第二章「オンリーワン」はそれほど大切か、では、最近の子ども・若者たちはまず「ふつうの人」(ワンオブアス)の位置に立とうとせず、最初からオンリーワンの「自己」に2022/09/14
香菜子(かなこ・Kanako)
48
自己チュー親子。諏訪哲二先生の著書。自分勝手で常に自己都合優先・自己利益優先、頑固一徹で他人の意見には一切耳を貸さない、そんな自己チュー親子、自己中心的親子がどのように生まれているのか、自己チュー親子、自己中心的親子にどう対応すればよいのか。長年教育者としてご活躍されてこられた諏訪哲二先生のご経験に基づいているので、自己チュー親子、自己中心的親子と関わらざるを得ない人にはとても参考になる内容です。2018/08/13
Nobu A
9
諏訪哲二著書2冊目。2009年初版。所々示唆に富む興味深い詳述があるが、相変わらず読みづらい。何でだろう。抽象的な記述が多く論旨が明確ではないと感じるのは私だけ。しかし、間違いなく学ぶことは多い。前著でも触れている「個人」と「自己」の分別と混同。「個人チュー」と言わず「自己チュー」と表現する点も興味深い。農業、産業、消費社会と移行し、家庭と地域社会と学校が三位一体で担っていた教育と躾が大きく変わる中、自己チュー親子の出現は大枠で捉えると腑に落ちる。他方、各家庭に異なる変数も存在するから一般化は出来ない。2022/06/30
Asakura Arata
5
「大人になることや社会的個人になることは、ある意味で「私」の無限の可能性を断念すること」未熟で病的な自己愛を捨てられないのは、「社会性の障害」にもつながるところだな。「しつけ」は子供に同意を得た合理的なものではないと言うが、子供に取っては特にそうだな。2020/04/12
shizuca
5
興味深く読みました。最初の亀田親子の話は「あーなるほど」という感じで、そのあと中盤以降がとても面白い。「個人」と「自己」の違い(この著書の中ではだけど)。社会の中の「個人」という考え方。言葉による躾の限界というかそとそも言葉のみで理屈でしつけは無理! 確かにそうかも。まだ判断の出来ない(社会経験の少ないorまったくない)子どもに対して「自由に選びなさい」ってある種の虐待ですよね。2019/09/01