出版社内容情報
近代日本の政治は、江戸期の上意下達から、身分不問で意見を戦わせて公共の利益に適う合意形成を行っていく「公議」による決定に変わった。そして、この公議の場こそ国会議事堂だった。
1890年に創られた仮議事堂で帝国議会は開会するが、一つの場での議論が不慣れだった日本人はここから政治をどのように組み立ててようとしたのか――。仮議事堂が2回全焼するなか、恒久的な国会議事堂創設までには、西欧普遍のスタイルか「日本性」追求かなど政治家、官僚、建築学者を巻き込み一大議論となっていく。
では、1936年に完成した現在の国会議事堂は、どのような意図のもとに創られ、また日本政治はこの器のなかで、どのように展開されていったのか――。
日本政治は、政治家をはじめとして人物を中心に描かれてきた。本書もそれを重んじつつ、国会議事堂という「政治=空間」に注目する。世界各国で政治は、空間に見合った形で展開されているからだ。空間が政治を規定するのでもなく、その逆でもなく、両者が相伴って形成しているからだ。
本書は、150年以上に及ぶ日本の公議の軌跡=日本政治について、「政治=空間」という新しい視点から、通史として描く試みである。
【目次】
内容説明
明治初め、議会は日本人には謎だった。議場や議事堂も想像しがたく、議会は五〇年近く仮議事堂で開催されていた。本議事堂建設にあたっては国威をいかに表現するか、西洋風か和洋折衷か、日本の将来の建築様式を決する一大論争となる。完成後も、戦中は国家主義の浸透、戦後は政党政治の動向に合わせて、象徴や使われ方は揺れ動く。本書は一五〇年以上に及ぶ日本の政治を、国会議事堂という空間を通して描き出す。
目次
第1章 公議の誕生―地方議会から国会へ 1861‐90
第2章 仮設議事堂からの始動―つくられる慣行 1890‐1905
第3章 「国威」の追求―建築様式論争 1905‐10
第4章 完成までの道程―事務所的建築へ 1911‐36
第5章 戦中と戦後―新議事堂の象徴と運用 1936‐90
第6章 政治主導の時代―周囲から変わる 1990‐
著者等紹介
佐藤信[サトウシン]
1988年奈良県生まれ。2011年東京大学法学部卒業、15年東京大学大学院法学政治学研究科総合法政専攻博士後期課程中途退学。博士(学術)。東京大学先端科学技術研究センター助教、東京都立大学法学部准教授を経て、26年より教授。専攻は日本政治外交史、現代日本政治。著書に『鈴木茂三郎1893‐1970』(藤原書店、2011年 河上肇賞奨励賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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