出版社内容情報
日本の数学は一七世紀半ばから中国の影響を脱し、独自の発展を遂げた。なかでも関孝和や建部賢弘の業績は多岐にわたり、極めて高度な内容を含んでいた。一方、一般向けの数学啓蒙書『塵劫記』が大ベストセラーとなって海賊版や類書が出回ったり、額や絵馬に問題や解法を記して神社仏閣に納める算額奉納が盛んに行われるなど、庶民の間でも広く楽しみとしての和算が定着した。最新の研究に基づいて、江戸に花開いた豊かな数学文化を繙く。
内容説明
日本の数学は一七世紀半ばから中国の影響を脱して独自の発展を遂げ、関孝和や建部賢弘の業績は世界的なレベルに達した。また、ベストセラー『塵劫記』をはじめ多くの優れた教科書によって、社会全体の数学力が高まった。さらに趣味として数学を楽しむ者も多く、その名残は今日でも神社仏閣に奉納された算額に見ることができる。高度な数学研究から庶民の楽しみの数学まで、最新の研究に基づき、江戸に花開いた豊かな数学文化を繙く。
目次
第1章 『塵劫記』の世界―近世日本の数学の始まり
第2章 関孝和の数学―日本の数学の確立者
第3章 関流の数学―研究の組織化
第4章 建部賢弘の数学思想―江戸城の数学
第5章 数学の広がり―発展と混乱
第6章 流派と教科書―数学の標準化
第7章 発展する数学―数学の爛熟
第8章 算額の世界―文化としての数学
第9章 明治維新と日本の数学―旧数学から新数学へ
補章 中国の数学―アジアの中の日本を考えるために
著者等紹介
小川束[オガワツカネ]
四日市大学環境情報学部教授・同大学関孝和数学研究所副所長。1954年生まれ。学習院大学大学院自然科学研究科(数学)博士後期課程中退。1988年、四日市大学講師、97年より現職。博士(学術)。専門は数学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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