中公選書
唐木順三ライブラリー〈1〉現代史への試み 喪失の時代

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  • サイズ B6判/ページ数 492p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784121100146
  • NDC分類 918.68
  • Cコード C1310

出版社内容情報

戦後の知的限界を超える営為を続けた現代思想界の巨人。その決定的5長編に小品や対談を併せて思索の核心に迫ったシリーズ第一弾。

内容説明

戦後の潮流から距離を置く「反時代」の人であり、哲学・文学・歴史を巨視的にとらえ、文人気質をもとに独自の評論活動を行った唐木順三。その代表作を紹介するシリーズの第一巻である本書は、知識と人間に対するすぐれた思索の書を収録。

目次

増補 現代史への試み(近代精神―三人称世界の成立;ドストイェフスキイ―三人称世界から二人称世界へ;現代史への試み―型と個性と実存;言葉の回復;近代と現代―河上肇と夏目漱石;近代日本の思想文化;教養ということ;虚構も魔術化;デカルトt現代;顔貌;仮設の神―太宰治;残るもの;途中の喪失;新しい幸福論のために)
喪失の時代(昔あって今うしなったもの;頽落の時代;政治、人を殺す;羞恥心の喪失;既設の喪失;経験の喪失;失われたもの;アダナの消失;現代とニヒリズム;現代の不安と無常;ニヒリズムの問題;雅号の消失)
小品集(書物との対話;美しい言葉;疎外される言葉;名付けるということ;芸術家は孤独であるべきこと;価値の多元化の問題;わが心の風土)

著者等紹介

唐木順三[カラキジュンゾウ]
1904(明治37)年、長野県上伊那郡に生まれる。1927(昭和2)年に京都帝国大学哲学科を卒業。近代文学研究から中世へと視野を広げ、独自の評論活動を行う。1940年、同郷の古田晁、臼井吉見と共に筑摩書房を設立する。戦後は同社の書籍や雑誌『展望』の編集を行い、一方で、明治大学文学部の教授もつとめた。1956年に『中世の文学』で読売文学賞・文芸評論賞を受賞。1980年、76歳で逝去

粕谷一希[カスヤカズキ]
1930(昭和5)年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。1955年、中央公論社に入社。『中央公論』編集長などをつとめる。1978年、中央公論社を退社し、1986年、『東京人』編集長に就任する。現在、評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

床ずれ

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大正教養主義以前の明治人たちは「形」を修養していた。その緊張感が歴史を創造する力を持っていた。その後の教養主義者は「あれもこれも」知識を貪り、普遍と個についてのみ関心を持っていたため、その中間の社会に対して無力であった。戦争が終わり、日本人は「個性」から「実存」の問題へと直面する。存在の根拠無き根拠へと没落していくとき、そこには「力に充ちた情意」、「泡立つカオス」としての「無」を目の当たりにする。そこに三木清は「構想力」という形を与えるが、その破滅性に気がついた時、彼は「阿弥陀」の本願へと傾倒していく…。2017/07/09

ポン

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唐木は、「型」の喪失の時代と大正を位置づけ、マルクス、ファシズムを経て戦後実存の問いが生まれたことを述べる。そのうえで、唐木が提示するのはニヒリズムの哲学、田辺哲学の「新なる型」としての可能性であった。唐木の述ぶ可能性は、現代のニヒリズムがもしかしたら探し当てる可能性と一致するかもしれない。その意味で、必要な主体の立て方であろう。しかし、それが「反近代」の思想として提示されることは無理である、といわねばなるまい。京都学派「反近代」の思想が露骨「近代」に包摂されてきた様を見てきたのであるから。2013/07/27

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