内容説明
「必然性の王国」ヨーロッパを揺るがす“理性”の脱中心化の動き。一方、無常観が日常のものだった日本は、昔から偶然性に寛容だった。本書は学問・文化の領域で喫緊の課題となってきた「偶然性」をめぐる、比較文化的論考である。日欧の文化を固定的にとらえず、より自由に、東西の事例を渉猟して、そこから必然性と偶然性を統合する考えを求めていく。
目次
第1章 偶然の諸相―九鬼周造
第2章 「宿世」三態―『夜の寝覚』と『今昔物語』(巻三十第五話・巻二十六第二話)
第3章 必然的因果連関から縁起的因果連関へ
第4章 無常の美学―『徒然草』
第5章 無常の形而上学―道元
第6章 存在の原風景と言語
第7章 詩作と偶然―マラルメ
第8章 我は他者なり―ランボー
第9章 偶然と無意識の冒険―ブルトン
著者等紹介
野内良三[ノウチリョウゾウ]
1944年東京に生まれる。東京教育大学文学部仏文科卒。同大学院文学研究科博士課程中退。静岡女子大学助教授、高知大学教授を経て現在、関西外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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