中公新書<br> 不平等と教育―日本の格差問題はなぜ解決しないのか

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中公新書
不平等と教育―日本の格差問題はなぜ解決しないのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 288p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121029157
  • NDC分類 371.3
  • Cコード C1237

出版社内容情報

教育の不平等をめぐっては多くの研究・議論が行われてきた。
だが、今なお解決には程遠い。
その理由は、日本人の認識枠組みにあり、意味が曖昧なまま外来の流行語・翻訳語を使うため、議論がすれ違うのだと著者は説く。
「大衆、機会均等の語義は原語と訳語でどう違うのか」「階級より階層、不平等より格差の語が使われる理由」など、鍵概念を手がかりに日本社会の思考の習性を探る。
日英で教鞭を執る著者の比較知識社会学。


【目次】

まえがき 教育論議は饒舌なのに、なぜ問題は解決しないのか

1章 「教育格差」論議の比較知識社会学
1 問題の所在
不平等に対する日本の向き合い方/実態把握の進展/政治や行政、私たちの認識を問う
2 「知識」は社会的に構成される
知識社会学とは何か/教育の現場や政策関係者の「常識」
3 比較知識社会学の試み
日本語は翻訳語でできている/「濾過の過程の見落とし」/輸入学問としての社会科学
4 「大衆教育社会」という経験
「大衆教育社会」とは何か/戦後日本の言説小史/「大衆」「能力主義」「格差」……/本書が取り組む課題

2章 「大衆」――生まれた時代と現代
1 大衆の発明
「大衆」の比較知識社会学/「大衆」という言葉を発明した男/工業化・都市化と普通選挙法/一向に明瞭でない正体/新奇性ゆえの流行
2 西洋における「大衆」概念
オルテガの大衆論/英国のmassの歴史/総力戦体制下における「国民化」
3 戦後日本の「大衆」「大衆社会」
1950年代の論争/西部邁の「高度大衆社会」論/大衆にまつわるネガティブさ/2章のまとめ

3章 「大衆化」――曖昧にされたエリートvs.マス
1 大衆教育とは何か?――戦前という前史
8割を占めた小卒者への教育/戦前教育学の重鎮の認識
2 強制的均質化と大衆教育
山之内靖の総力戦体制論/野口悠紀雄の1940年体制論/戦時の教育改革を率いた阿部重孝
3 「階級」の欠落
高校教育の大衆化/教育社会学の泰斗が見た60年代/トロウの発展段階論/第一人者による意訳/階級とmass higher education/曖昧化の作用/3章のまとめ

4章 「機会均等」――原語 “opportunity” との決定的違い
1 開かれた機会(opportunity)の信仰 
教育を重視したブレア政権/「第三の道」とは何か
2 アメリカにおけるopportunity
19世紀のアメリカン・ドリーム/アメリカ公教育の思想基盤/コモンスクールの思想
3 日本語の(教育)機会の均等
「機会」とは何か/均等と平等の違い/日本の消極性・形式主義/戦後の機会均等/高校教育と高等教育の「機会均等」/トロウ論文が示すopportunity概念
4 「試験」が教育と成功を媒介する
立身出世の日米比較/試験という媒介項/4章のまとめ

5章 「格差」と「不平等」――「階級」でなく「階層」を使う功罪
1 メリトクラシー理解の日英比較
メリット=知能+努力の謎/階級社会とIQ/頑迷な誤謬/11歳の試験イレブン・プラス
2 日本における能力主義と知能、努力
努力主義をめぐって/知能検査への不信感/努力と適性(知能・素質)/能力主義の日本的理解の特徴
3「階級」の消長
戦前の階級意識と階級概念/「階級」という言葉の消

内容説明

教育の不平等をめぐっては多くの研究・議論が行われてきた。だが、今なお解決には程遠い。その理由は、日本人の認識枠組みにあり、意味が曖昧なまま外来の流行語・翻訳語を使うため、議論がすれ違うのだと著者は説く。「大衆、機会均等の語義は原語と訳語でどう違うのか」「階級より階層、不平等より格差の語が使われる理由」など、鍵概念を手がかりに日本社会の思考の習性を探る。日英で教鞭を執る著者の比較知識社会学。

目次

1章 「教育格差」論議の比較知識社会学
2章 「大衆」―生まれた時代と現代
3章 「大衆化」―曖昧にされたエリートvs.マス
4章 「機会均等」―原語”opportunity”との決定的違い
5章 「格差」と「不平等」―「階級」でなく「階層」を使う功罪
6章 「大衆教育社会」という経験

著者等紹介

苅谷剛彦[カリヤタケヒコ]
1955年東京都生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。ノースウェスタン大学大学院博士課程修了。Ph.D.(社会学)。東京大学大学院教育学研究科教授、オックスフォード大学教授を経て、2024年から上智大学特任教授、オックスフォード大学名誉教授。著書『階層化日本と教育危機』(有信堂高文社、2001年、大佛次郎論壇賞)『教育の世紀』(弘文堂、2004年、サントリー学芸賞〔増補版、ちくま学芸文庫、2014年〕)『追いついた近代 消えた近代』(岩波書店、2019年、毎日出版文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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venturingbeyond

39
冒頭で著者が明確に示している通り、教育言説を扱う比較知識社会学の好著。知識社会学の祖であるK.マンハイムに関する叙述はわずかであるが、本書で論じられる問題圏は、『イデオロギーとユートピア』で提起された「知識の存在(被)拘束性」に関するもの。言語論的転回や社会構築主義の浸透を経由した現代において、学問的探究に翻訳語を用いらざるを得ない本邦の状況は、まさに比較知識社会学の格好の素材。柳父章『翻訳語成立事情』は既読だが、やはり、渡辺浩『たとえば「自由」はリバティか』に手を伸ばさねばならない模様。2026/07/28

よっち

26
教育の不平等をめぐる議論は饒舌なのに、なぜ一向に解決しないのか。比較知識社会学の視点から、その根本原因と大衆、機会均等、格差・不平等、階級・階層といった鍵概念を日英の文脈から解きほぐす1冊。大衆教育社会という戦後日本の経験を軸に、知識が社会的に構成される過程での言葉の濾過過程の見落としを指摘する一方、大衆が曖昧に使われた経緯を明らかにして、英語の「開かれた機会」と日本語の「機会均等」の決定的なずれを指摘していて、外来の流行語・翻訳語を意味の曖昧なまま使う日本社会の思考習性や言葉の力を再認識させられました。2026/07/20

ドラマチックガス

13
名著『大衆教育社会のゆくえ』から31年(!?)、大衆教育社会のその後を描く本。先行して出た『日本人の思考』とだいぶ重なるところがある。教育問題の分析よりは、「大衆」とはなにかとった学術的な部分が多く、そこは少し残念。『日本人の思考』と役割分担してくれたらよかったのに。「メリトクラシー」という語の日本での定着の仕方や、能力主義への根本的な批判などは「うんうん」と頷きながら読み進んだ。タイトルや帯への答えは、明確には示されていないかな…2026/07/15

mokohei

2
曖昧さを日本固有の問題と捉えること自体がどんなんだろなぁという印象。私はどちらかと言えば近代固有の問題だと思っていたから違和感しかない。2026/07/21

U-Tchallenge

1
苅谷剛彦先生の著作ということですぐに手に取った。しかし、なかなか読むのは骨が折れるものであった。教育界でよく使われる様々な言葉を一つ一つ確認しながら話が展開されていた。章の終わりにはまとめが書かれているので何とか整理できた感覚であった。すぐに明日の実践につながるわけではないが、教育に携わる者としては知っておいて損はない内容のように思った。2026/07/30

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