出版社内容情報
恐竜、マンモスなど絶滅種を復活させるという見果てぬ夢――。科学者たちが織りなしたドラマとともに古代DNA研究の軌跡をたどる。
内容説明
DNAには不思議な魅力がある。大ヒット映画『ジュラシック・パーク』では、琥珀の中に遺されたDNAから、恐竜を現代に蘇らせた。それは絵空事とは言い切れない。マンモスなど絶滅動物の復活をめざす取り組みは今なお続けられている。古代DNAの研究を進展させた新技術はどのようなものか。生命を操作することに重大なリスクはないのか―。科学者たちが織りなしたドラマとともに、起伏に富んだ研究史をたどる。
目次
第1章 古代DNA研究の前夜
第2章 マンモスや恐竜という夢へ
第3章 古代DNA研究のスタート
第4章 ミイラの古代DNA
第5章 PCRという新技術
第6章 恐竜とともに奈落の底へ
第7章 ネアンデルタール人で復権
第8章 絶滅種の復活
第9章 再びマンモスや恐竜という夢へ
著者等紹介
更科功[サラシナイサオ]
1961年(昭和36年)、東京都に生まれる。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業勤務を経て、東京大学大学院に進み、理学系研究科博士課程を修了。博士(理学)。専門分野は分子古生物学。現在、武蔵野美術大学教授。『化石の分子生物学』で第29回講談社科学出版賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
75
面白かった。良書です。専門の話はやや難しいところもあるけど、文章うまいな。読ませます。 恐竜やマンモスの復活とか、テーマも面白い。 PCRとかコロナですっかり馴染みになったし。2024/03/18
やいっち
56
仕事が余りに暇で、中島敦作品集に次いで、本書も読了。面白かった。さすが更科功。感想は後日。2024/09/02
みこ
28
「ジュラシックパーク」で描かれたように化石の中のDNAから恐竜や絶滅生物は復活できるのか?庶民の娯楽だけでなく、専門家の分野にも影響を与えたジュラシックパークの偉大さを認識させられる。一方で、一度絶滅した生物が蘇ることは生態系への影響も含めて本当に意味のあることなのかと警鐘も鳴らす。ロマンを感じつつも考えさせられる一冊である。2024/04/02
寝落ち6段
19
映画『ジュラシックパーク』の影響は大きかった。琥珀に閉じ込められたDNAから絶滅生物を復活させるという夢。実際に可能かを検証すると、不可能。実は、自然界にはDNAが氾濫しており、特に年代が古くなるほど、自然からの干渉が大きくなり、元々のDNAは保存されなくなってしまう。それに、絶滅生物の復活は、人間のエゴではないかとも思う。仮に人間が絶滅に追い込んだ生物でも、既に自然界からは隔絶された存在であり、現生の自然界に戻してもよいものなのだろうか。自然淘汰された生物なら尚更ではないか。生命倫理にも繋がる話だった。2025/04/22
bapaksejahtera
15
古代生物や歴史時代の絶滅種の復活の話題に紐付けして、人間生活と生物学との関わりについて説く。冒頭骨を媒介するCaの出し入れ、アミノ酸とタンパク質の形成及び多様な機能等基礎知識確認の後、映画ジュラシックパークを機に高まった古生物との復活に関する話題。中生代の化石からは愚か、永久凍土からのマンモスDNA採取の困難さ。急速に発達したシーケンシング技術により、ネアンデルタール人と現生人類との関わりの知見は深まったが、IPS細胞技術の応用を以ても絶命種の復活は難しい。人類と地球環境についての思考実験として有用な本。2025/01/18