出版社内容情報
国際色豊かな天平文化が花開く一方で、皇位継承をめぐる政変が相次ぎ、熾烈な権力闘争が展開する。政治と社会が激動した時代を描く。
内容説明
平城京への遷都で幕を開けた奈良時代。律令体制の充実期で、台頭する藤原氏はその立役者だった。唐の文物が輸入され、国際色豊かな天平文化も花開く。他方で長屋王の変、藤原広嗣の乱、恵美押勝の内乱など政変が相次ぎ、熾烈な権力闘争が繰り広げられた。飢饉や疫病にも襲われる。仏教を重んじ、遷都を繰り返した聖武天皇、その娘で道鏡の重用など混乱も招いた孝謙(称徳)天皇の治世を軸に、政治と社会が激動した時代を描く。
目次
序章 律令国家への道―天武天皇の後継者たち
第1章 律令国家建設と平城京
第2章 皇親政治と藤原氏
第3章 藤原四家の分立
第4章 相次ぐ遷都と大仏造立
第5章 専権貴族の登場
第6章 異形の仏教政治
第7章 新王朝と藤原式家
終章 皇位継承をめぐる政争の時代
著者等紹介
木本好信[キモトヨシノブ]
1950年(昭和25年)、兵庫県に生まれる。駒澤大学大学院人文科学研究科日本史学専攻博士後期課程単位取得満期退学。博士(学術、帝塚山大学)。山形県立米沢女子短期大学教授、甲子園短期大学教授、同短期大学学長、龍谷大学教授を歴任。専門分野は日本古代政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
111
副題に「律令国家の黄金期」とあるが、実際の奈良時代は血で血を洗う政治闘争が続いた。元明元正両女帝は不比等の神輿でしかなく、聖武天皇は優柔不断な無能者で、好悪の激しい孝謙(称徳)女帝は母の光明皇太后没後はやりたい放題だった。トップがこの有様なのに勢力争いから皇太子を決められず、権力を握った長屋王、藤原仲麻呂に道鏡も権力争いの果てに殺されるか失脚し、藤原四兄弟も伝染病で亡くなるまでは内訌を抱えていたのだから。いくら律令を整えても政治に関する規定がなければ属人政治と化す、未熟な国家体制の実態を赤裸々に描き出す。2023/02/09
Shoji
38
奈良時代の皇位を巡る争い、皇嗣の位置を巡る争いが書かれています。奈良時代の政争がテーマのようです。それはそれで良かったですが、何分ニッチ。少し奈良時代を勉強された方向けです。為政者はなぜ皇位にこだわるのか、そんなに権力が魅力的なのか。奈良時代の歴代天皇といえば、政策よりも政権争いというイメージが確かにあります。聖武の大仏さんにしても、目的は権力の誇示だしなあ。極めつけは称徳と道鏡か。みなさん策士ですわ。少しは、石に噛り付いて真っ当な政治をしなさい。今の日本のでたらめ政治の礎は、案外、奈良時代だったり、、、2023/12/28
優希
35
奈良時代の開幕から終焉までを網羅しています。各種通説と変遷を含めて俯瞰できるので、奈良時代の流れがよく分かりました。天平文化が花開くのに反して激しい権力争いが繰り広げられていたことを改めて知りました。政治と社会が激動した時代が奈良時代なのですね。2025/03/15
みこ
34
奈良時代を丸々統括。天武天皇の血統を護るべく夭折した子の代わりに即位した元明天皇の時代に始まった奈良時代が、天武の血統が途絶えた称徳天皇の死をもって終焉を迎える過程は感慨深い。一枚岩だと思っていた藤原四兄弟が北家の房前だけ対立していたことなどは新鮮な情報。丁度一人の人間の寿命分の長さなのに常に誰かと誰かが争っていた意外と血生臭い時代だった。2022/12/29
ぽんすけ
23
ざっくりとした通史でとてもわかりやすかった。自説にも言及しているものの、その他の学説の中の一つという感じに書かれているので著者の我は感じずつっかえずに読めた。ちょっと前に読んでいた本の著者がさわるものみな傷つけちゃうタイプのギザギザハートの持ち主で読むのに大変なパワーを要したので、これくらいさらっと書いてくれる方がこちらも色々考えれて良かった。しかし奈良時代って人がバンバン死ぬドロドロ政争の時代だよね。摂関政治のことを権力の独裁だと思ってたけど、政治の型ができて安定するってのも悪いことばかりじゃないかも。2023/08/08
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