出版社内容情報
国会議員への不信が高まっている。1990年代以降の一連の政治改革を経ても、議員の活動・役割は見えにくい。本書は、人材、選挙、政策形成、価値観、資金、国際比較など、あらゆる観点から国会議員の実態をデータに基づき描く。世襲や秘書出身者の増加、少数の女性議員、なお不透明な政治資金、憲法・安全保障とは異なる社会経済政策を巡る対立軸の不在など、多くの問題と原因を指摘。日本政治に何が必要か改革の方向性を示す。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Book & Travel
31
先日の衆院選を含め選挙の投票には必ず行っているが、投票したい候補がおらず消去法的に選んだり、公約の実現性が不明だったり、不満に思うことは多い。本書は、国会議員にはどんな人物がなるのか、その具体的な活動、政党との関係性、資金と使途など、議員の実態を豊富なデータを用いて切り込んでおり、とても読み応えがあった。その中でもやはり資金と使途については特に興味深いところ。議員の負担が重いことは理解出来るが、尚のこときちんとした公開が重要なのは間違いないだろう。著者の問題提起も判りやすく、理解促進に役立つ読書になった。2024/10/31
coolflat
14
51頁。日本の選挙運動規制の背景には候補者間の機会均等の考え方がある。候補者の経済力の差が選挙運動に反映され、富裕な候補者が有利にならないようにと配慮している。1925年から選挙公営制度が導入され徐々に拡大してきた。選挙公営制度とは国や地方自治他が選挙費用の一部を負担するものである。選挙公営制度の範囲は、国政、地方選挙によって異なるが、ポスター掲示板の設置、政見・経歴放送、選挙公報の発行とともに、選挙用自動車の使用、通常はがきの交付、ビラやポスターの作成などを金銭面で保証している。2023/09/24
かごむし
14
多くのデータを用いて、国会議員を取り巻く環境について詳述され、組織の中で生きる生身の国会議員の姿が浮かび上がる。1994年の選挙制度改革以降、個人の政治家よりも政党を重視する制度へと大きく変わったが、様々な問題もあり道半ばのようだ。国際比較、政党間比較、時系列比較を行っているため、日本の政治の現在地がよくわかるし、特定の政党に対する見解が含まれていない分、自分の頭で政治について考える材料が豊富にあった。「代表制民主主義には批判も多いが、役割を果たしやすくすることこそが求められる」という一文が胸に刺さった。2022/06/21
のら
8
人材/政策形成/政治資金等、多岐にわたり国会議員について概観。日本は女性議員割合が少ないことはよく知られている。本書によれば性別によって関心分野にも違いが生じるとのこと。女性議員は福祉や環境についての関心が高い。本書を読んでいる最中に今後の防衛費をどうするかが問われた世論調査結果が出た。WEB記事だと男女別の結果は載っていなかったのだが、新聞記事には内訳が出ていた。それによると男性の方が積極的で女性は慎重。現下の女性議員割合の低さは政策形成にどう影響を与えているか。2022/05/24
たろーたん
7
2015年の中央調査社の調査によると、「国会議員を信頼できない」が49%、「どちらとも言えない」が42%、「信頼できる」が8%らしい。そんな信頼のない日本の国会議員はどのような存在なのか。他国と比べて突出しているのが約3割という世襲議員の多さ。他の国々がアイルランドを除くと世襲議員の割合が10%以下ということから日本の世襲の多さが分かるだろう。韓国の世襲割合が5%ということから東アジアの文化的な要因とも言えない。また、日本の特徴は供託金が非常に高いこと。小選挙区で300万、比例代表は600万で、(続)2022/09/04




