出版社内容情報
ナチによるユダヤ人虐殺といった史実について、意図的に歴史を書き替える歴史修正主義。フランスでは反ユダヤ主義者の表現、ドイツではナチ擁護として広まる。1980年代以降は、ホロコースト否定論が世界各地で噴出。独仏では法規制、英米ではアーヴィング裁判を始め司法で争われ、近年は共産主義の評価をめぐり東欧で拡大する。本書は、100年以上に及ぶ欧米の歴史修正主義の実態を追い、歴史とは何かを問う。
目次
序章 歴史学と歴史修正主義
第1章 近代以降の系譜―ドレフェス事件から第一次大戦後まで(1 陰謀論、マルクス主義の「修正」―イデオロギー化;2 ドイツ外務省の試み―戦争原因研究本部の設置 ほか)
第2章 第二次世界大戦への評価―一九五〇~六〇年代(1 ニュルンベルク裁判への不満―ドイツだけが悪いのか;2 ナチ、ネオナチの歴史観―グトラーに責任なし ほか)
第3章 ホロコースト否定論の勃興―一九七〇~九〇年代(1 起源と背景―反ユダヤ主義の政治的表現;2 歴史修正研究所を訴える―マーメルスタインの”挑戦” ほか)
第4章 ドイツ「歴史家論争」―一九八六年の問題提起(1 ナチズムと戦後ドイツ社会―過ぎ去ろうとしない過去;2 ホロコストの比較可能性、歴史の政治利用 ほか)
第5章 アーヴィング裁判―「歴史が被告席に」(1 リップシュタットは何を問題としたか;2 歴史改竄の技術―R・エヴァンズによる検証 ほか)
第6章 ヨーロッパで進む法規制―何を守ろうとするのか(1 歴史否定の禁止対象とは―各国の法;2 ドイツ半世紀を超えた闘い ほか)
第7章 国家が歴史を決めるのか―司法の判断と国民統合(1 全ヨーロッパ共通の記憶へ―民主主義の尺度に;2 アルメニア人虐殺問題―ジェノサイドか否か ほか)
著者等紹介
武井彩佳[タケイアヤカ]
1971年(昭和46)年愛知県生まれ。94年早稲田大学第一文学部史学科卒業。2021年早稲田大学文学研究科史学専攻博士課程修了。01~04年日本学術振興会特別研究員、04年博士(文学・早稲田大学)。早稲田大学比較法研究科助手などを経て、学習院女子大学国際文化交流学部教授。専攻・ドイツ現代史、ホロコースト研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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