出版社内容情報
謀反に至る以前、光秀はどのような活動をしていたのか。織田家中で随一の働きを示し、信長の政権運営を支えた武将の実像に迫る。
内容説明
織田信長は版図拡大に伴い、柴田勝家、羽柴秀吉ら有力部将に大幅な権限を与え、前線に送り出した。だが明智光秀の地位はそれらとは一線を画す。一貫して京都とその周辺を任されて安土城の信長から近く、政権の司令塔ともいえる役割を果たした。検地による領国掌握、軍法の制定などの先進的な施策は、後年の秀吉が発展的に継承している。織田家随一と称されながら、本能寺の変で主君を討ち、山崎合戦で敗れ去った名将の軌跡。
目次
第1章 光秀の登場
第2章 上洛以後の活躍
第3章 坂本城主と京都代官
第4章 丹波攻略の始まり
第5章 八上城攻防戦と畿内制圧
第6章 分国支配の様相
第7章 織田勢の西国攻めと光秀
第8章 本能寺の変へ
第9章 山崎合戦と光秀の死
終章 明智光秀の実像
著者等紹介
福島克彦[フクシマカツヒコ]
1965年(昭和40年)、兵庫県に生まれる。立命館大学文学部卒業。愛知県立高校教諭を経て、現在、大山崎町歴史資料館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
181
信長も将軍権威を借りねばならず、畿内近国と縁の深い光秀が国衆との折衝に当たった。これは安易な上意下達で済む仕事ではなく、将軍義昭を守り続けた光秀だからできること。朝廷・将軍・寺社に手を焼く信長は、保守と変革の志を併せ持つ光秀を必要としていた。信長の繊細な指先となり、信長に代わって凶器を握り、信長に欠けていた法…軍令を定めるまでになる。京の防備と西近江・丹波の情勢はいつも頭にあったろう。信長の命を握っていると気づいた光秀が、指であることを止めた時、彼の人脈は彼を扶けなかった。信長に近すぎた人の悲劇だろうか。2024/07/13
Kiyoshi Utsugi
41
福島克彦の「明智光秀 織田政権の司令塔」を読了しました。 ・光秀の登場 ・上洛以降の活躍 ・坂本城主と京都代官 ・丹波攻略の始まり ・八上城攻防戦と畿内制圧 ・分国支配の様相 ・織田勢の西国攻めと光秀 ・本能寺の変へ ・山崎合戦と光秀の死 ・明智光秀の実像 により構成されています。 柴田勝家、羽柴秀吉と並んで織田政権の司令塔として大幅な権限を与えられた明智光秀ですが、他の二人とは異なり、京都の周辺を任されて、織田信長に近いところにいたということで、新たな明智光秀像を描いています。 意外と面白かった。2023/06/07
Book & Travel
41
「麒麟がくる」が終わって日が経つが、明智光秀について史実としてどこまで解っているのか、知っておきたくて手に取った。最新の史料研究から堅実に光秀の実像を追っていく硬派な一冊。光秀については大抵、なぜ本能寺の変を起こしたかばかりが注目されるが、本書は信長政権での役割や領国統治の手法に焦点を当て、国衆との交渉力や秀吉と共通する独創性など、有能で抜群の信頼を得ていた光秀の実像を炙り出している。本能寺後の各勢力の動きや山崎合戦についても詳しく、興味深い内容が多かった。優秀で堅実な印象の光秀だが、謀叛については→2021/02/22
Tomoichi
27
織田政権が想像以上盤石ではなかった事、近畿の国衆の力など中々勉強になった。光秀も秀吉同様に優秀であった事もわかるがそれでも本能寺の変後の甘い見通しは謎である。やっぱり単純に魔が差しただけなのかな?2022/02/26
nagoyan
22
優。信長の信任も厚く、織田政権中枢で、力を奮った光秀の実像を丁寧に明らかにする。本能寺の変の動機探しはやらない。面白いのは、信長に対して、光秀、秀吉を新時代の統治者として説明するところ。検地、石高制にもとづく家臣団編成といった、近世的な統治は信長ではなく、光秀、次いで秀吉に始まる。本能寺の変についていえば、本書では、なぜ光秀が本能寺の変を起こしたかはあきらかではないが、逆に光秀だけが本能寺の変を起こし得たと理解できる。丹波攻略と丹波統治の過程、坂本城普請と、光秀権力の先進、特殊性の説明は類書に少なく秀逸。2021/01/07
-
- 和書
- 法学概説 (改訂版)