出版社内容情報
「諸経の王」と称される大乗仏典『法華経』が誕生したのは、釈尊入滅から五百年ほどのち、紀元一世紀末から三世紀初頭のインド北西部だとされる。五三八年の仏教伝来によって日本にもたらされると、宗教・文化・社会に絶大な影響を与えた。本書は『法華経』成立の背景から、各章の詳細、全編を貫く「人間主義」の思想性に至るまで、その全貌を解説する。サンスクリット原典の徹底的な精読を通じて明らかにする、その教えの真意と現代的意義。
内容説明
『法華経』は、釈尊入滅から約五百年後、紀元一世紀末から三世紀初頭のインド北西部で誕生したとされる。日本には六世紀半ばに伝わり、『法華秀句』を著した最澄や「法華経の行者」を自任した日蓮から、松尾芭蕉、宮沢賢治に至るまで、後世に広く影響を与えた。本書では、サンスクリット原典の徹底的な精読を通じて、「諸経の王」とも称される仏典の全体像を描き、平等な人間観に貫かれた教えの普遍性と現代的意義を示す。
目次
1 『法華経』の基礎知識―インドで生まれ、中国から各地に伝えられた経典(題号の意味;サンスクリット原典と翻訳;構成と成立順序;日本文化への影響)
2 『法華経』前夜の仏教―原始仏教から小乗、そして大乗の興起へ(原始仏教の権威主義化;小乗仏教の差別思想;大乗仏教の興起)
3 『法華経』各章の思想―「諸経の王」の全体像(あなたもブッダになれる(序品と第一類)
菩薩としての使命(序品を除く第二類)
民衆強化のために付加された六章(第三類))
4 『法華経』の人間主義―“偉大な人間”とは誰のことか(人間としての釈尊;人と法;永遠の菩薩道)
著者等紹介
植木雅俊[ウエキマサトシ]
1951(昭和26)年、長崎県生まれ。仏教思想研究家。九州大学大学院理学研究科修士課程修了、東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退、1991年から東方学院において中村元氏のもとでインド思想・仏教思想論、サンスクリット語を学ぶ。2002年、お茶の水女子大学で人文科学博士号取得(男性初)。2008‐2013年、東京工業大学世界文明センター非常勤講師。訳書『梵漢和対照・現代語訳 法華経』上・下巻(岩波書店、2008年)で第62回毎日出版文化賞を、『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(岩波書店、2011年)で第11回パピルス賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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