出版社内容情報
人間の眼も昆虫の複眼も起源は一緒!バラエティに富む生き物の姿や行動が、いつ、どんな理由で誕生したのかを、最新の学説で紹介する。
内容説明
生物はなぜこんなに多様なかたちをしているのか?餌の種類に応じてくちばしの形を変えた鳥、雄が交尾後の雌に貞操帯でフタをするトンボなど、多様な姿や驚きの行動が、どのようにして生起したのかを解説。さらに中立進化説、分子遺伝学や行動生物学といった最新の知見を紹介し、「挑戦する雄」が新たな種を生み出すとの新説や、過剰な適応は絶滅への道であることを提唱する。知的興奮に満ちた生き物好き必読の書。
目次
第1章 多種多様な地球生物
第2章 自然淘汰による生物の進化
第3章 進化説の検証
第4章 進化説の発展
第5章 生殖と進化
第6章 利他性の進化
第7章 分子遺伝学が開いた扉
第8章 進化のもうひとつの肖像
著者等紹介
小原嘉明[オバラヨシアキ]
1942年福島県生まれ。東京農工大学農学部卒業。同大学教授等を経て東京農工大学名誉教授。この間、1997~2005年の9年間、ケンブリッジ大学にてMajerus M.E.N.教授と共同研究。現在、宮城教育大学協力研究員。理学博士。専攻・動物行動学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
29
ハエとヒトのようにまったく異なる形態や器官を有する動物は、そもそものはじめから異なる進化の道を歩んできたと考えられてきたが、実は両者はホメオティック遺伝子やパックス6遺伝子のように、器官の構築にかかわる遺伝子を共有する同朋であることが示されたのだ。両者は脊椎動物と無脊椎動物が出現する以前の太古の昔に存在していたある祖先を共有する「血を分けた」子孫だという、新しい認識/目の起源が多細胞動物の出現前まで遡るという指摘は注目に値する。/2018/08/23
fseigojp
27
カンブリア爆発という時代に、いまの生物界の原型ができたらしい 社会性昆虫の代表である蜂に見られる利他的行動はダーウィンの説となじみにくかったが利己的遺伝子集団の保存目的と考えると利己説で説明できるとか、ふむふむネタも満載 お買い得だった 2017/01/10
なっく
25
下手なミステリーよりもよっぽど面白い!それもそのはず、生物はみな生き残りを賭けた壮絶な生存競争を繰り広げてきたのだ。機能を強化し、変異を繰り返してリスクを避けてここまで来た。一番面白かったのは、やっぱり雄と雌の話。求める雄、選ぶ雌、というのはどの生物にも共通で、それは精子と卵子の数の違いなのだ。だから雄は必死で交尾の機会を増やそうとする。男は浮気性、というのは生物進化のための必然なんだねー(と正当化 笑)。イエスズメは一夫多妻で、No.2雌はNo.1雌の子を殺して雄の気を引く、それこそ毒婦も真っ青だ。2022/02/10
かごむし
23
「入門」と銘打つだけあって、知識のない僕でも、基本を踏まえた応用、これからの進化生物学の行方も網羅して、読み応えがあった。前半はダーウィンの進化論について、丁寧に解説されている。これは現在では常識として理解されていることの、自分の肌感覚に沿う包括的な知見を確認するものであった。しかしその後、分子遺伝学という画期的な学問が発展し「中立進化説」という新しい学説がほぼ正しいと立証されてきたそうである。この学説が、従来からの進化説と絡みながら、新しい進化説の地平が見えてきたというのが本書の結論である。面白かった。2017/09/30
かんがく
16
ダーウィンの進化説を中心に、自然淘汰、DNA、ゲノムなど生物の進化について記述。具体的な生物の生態が多数出てくるのでわかりやすいが、生存と繁栄のためにプログラムされたかのように行動するグロテスクさに少し気分が悪くなってしまった。生物学は私には向かないな。2019/04/29