出版社内容情報
切っても切れない「厄介な隣人」とのつきあい方とは。目前の現象だけではわからない「中国の論理」を、歴史的アプローチから読み解く。
内容説明
同じ「漢字・儒教文化圏」に属すイメージが強いためか、私たちは中国や中国人を理解していると考えがちだ。だが「反日」なのに日本で「爆買い」、「一つの中国」「社会主義市場経済」など、中国では矛書がそのまま現実となる。それはなぜか―。本書は、歴史をひもときつつ、目の前の現象を追うだけでは見えない中国人の思考回路をさぐり、切っても切れない隣人とつきあうためのヒントを示す。
目次
1 史学
2 社会と政治
3 世界観と世界秩序
4 近代の到来
5 「革命」の世紀
むすび―現代の日中関係
著者等紹介
岡本隆司[オカモトタカシ]
1965年(昭和40年)、京都市に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、京都府立大学文学部教授。博士(文学)。専攻、近代アジア史。著書『近代中国と海関』(名古屋大学出版会、1999年、大平正芳記念賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会、2004年、サントリー学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
123
読んでいて非常にわかりやすく、中国人の本来の性格などが少しはわかるような気がします。最近巷間でかなり氾濫している嫌中関連の本と比べてなんとまともな本かということです。私もこの著者と同じように中国が嫌いか、と言われれば嫌いですが、やはり歴史関連の本を読んだりすると面白く興味がかきたてられます。ですから資治通鑑などをいつも全部を読みたいと思っています。この本は再度中国を見直すという観点からはいい本だと思います。2016/10/26
かごむし
36
あの国はこういう国だ、というレッテルを貼る人をあまり好きではない。どうせひと握りの表層的な事象を、自分の好きなように解釈しているだけだろうと思うから。とは言え、あの国はどういう国だろうか、という問いには、非常な知的好奇心を覚える。複雑多岐にわたる様々な事象をまとめて、つづめて、結論を言ってしまう、というのは科学的であって学問的であると思うから。前置きが長くなってしまったが、この本は中国という国を学ぶ、非常に優れた本だと思う。中国に対して持っている少なくない知識を一本の太い綱で引くような楽しい読書であった。2016/10/24
ひよピパパ
27
昨今の国際情勢の中で唯我独尊的な立ち居振る舞いをしている(?)中国の姿勢の根拠を、歴史的に跡づけた好著。中国の歴史の捉え方がマクロ的でわかりやすい。また、その歴史性が現代につながっているという点は説得力があった。ただ、今の中国の動向を見ていると、中国共産党自体に対する詳細な分析も必須だとも感じた。2022/01/17
coolflat
23
中国のイデオロギー・体制は、君主独裁体制から立憲共和制、三民主義からマルクス主義、計画経済から市場経済へと移り変わっていった。しかし、その前提に必ず存在していたのは、「士」「庶」が隔絶し、上下が乖離した社会構成である。現在において「士」と「庶」の間に古代や中世ほどの隔たりはない。だが、埋めがたい隔絶が現在にもいまだ残っている。歴史において「士」と「庶」の『隔絶』には様々に変容があった。その変容過程を辿っていくことで中国の有り様が見えてくる。ちなみに、「士」とはエリート、「庶」とは非エリート、庶民のことだ。2017/05/17
sine_wave
19
尖閣問題・南京虐殺問題に対する中国の対応には腹が立つ。その根っこはどこにあるのか、本書を読むことで頷ける点があった。それに中国の歴史をざっと俯瞰できるし、清朝後の革命の連続について学習できた。2018/02/09