内容説明
明治憲法成立後の1890年代以降、天皇の特別な補佐として、首相選出を始め、内閣の存廃、戦争、条約改正など重要国務を取り仕切った元老。近代日本は、伊藤博文、山県有朋、西園寺公望ら元老8人の指導下にあった。非公式な組織のため、当初は政治の黒幕として批判されたが、昭和初期の軍部台頭下では未成熟な立憲国家を補う存在として期待が高まる。本書は、半世紀にわたり権力中枢にいた元老から描く近代日本の軌跡である。
目次
元老とは何か―「元勲」「黒幕」と制度
明治維新後のリーダー選定―大久保・西郷・木戸・岩倉らの時代
憲法制定と元老制度形成―伊藤と山県の対立の始まり
日清戦争後の定着―明治天皇と伊藤
元老と東アジアの秩序・近代化―戦争・条約と元老群像
政党の台頭による制度の動揺―伊藤の死
第一次護憲運動による危機―山県の対応
元老制度存廃の戦い―山県と大隈の攻防
原内閣下の首相権力拡大―山県の抵抗と屈服
危機をどう乗り越えるか―山県没後の西園寺
新しい首相推薦様式―実権者の西園寺
昭和天皇の若さと理想―西園寺の不安と苦悩
満洲事変後の軍部台頭の時代―西園寺の柔軟な対応
二・二六事件と元老権力―西園寺による軍部抑制
太平洋戦争は避けられないか―天皇の尽力と内大臣の輔弼
元老制度と近代日本―果たした役割とは
著者等紹介
伊藤之雄[イトウユキオ]
1952(昭和27)年福井県生まれ。76年京都大学文学部史学科卒。81年京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学、名古屋大学文学部助教授などを経て94年より京都大学大学院法学研究科教授。専攻・日本近現代政治外交史。博士(文学)。著書に『昭和天皇伝』(文藝春秋、2011年(文春文庫、2014年)、司馬遼太郎賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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